もはや狂気?「実は一番ヤバい」豊臣秀吉……なぜ、そこまで信長を信じるのかを考察【豊臣兄弟!コラム】

豊臣秀吉の名参謀と言われた弟・豊臣秀長(小一郎)のサクセスストーリーを、仲野太賀主演で描く大河ドラマ『豊臣兄弟!』(NHK)。2月15日放送の第6回「兄弟の絆」では、秀長&織田信長の激しい対決が見どころとなったが、秀吉の底知れなさもひそかに描かれることに。そして前田利家のツンデレぶりに、視聴者が湧く回となった。

■ 織田信長の弟へのトラウマ…第6回あらすじ兄・藤吉郎(豊臣秀吉/池松壮亮)を人質にして、調略した斎藤家家臣・大沢次郎左衛門(松尾諭)を織田信長(小栗旬)の元に連れてきた小一郎だったが、次郎左衛門に信長暗殺計画の疑いがかかり、信長の妹・市(宮﨑あおい)に取りなしを頼む。

しかし、市は、信長は仲の良かった弟・織田信勝(中沢元紀)を、謀反人として処罰した経験から誰も信じなくなったことを小一郎に語り、自分でも説得することはできないと詫びる。

信長に逆らうことを直(白石聖)に心配された小一郎だったが、兄の忠義心を命がけで訴えることで、信長と家臣団を説得。最終的に次郎左衛門が家督を放棄したことで、鵜沼に戻ることができ、藤吉郎は無事に開放された。

結果的に調略が成功したことで、侍大将の地位が約束された藤吉郎は、出迎えに来た寧々(浜辺美波)に夫婦になってほしいと告白。寧々がそれを承諾し、小一郎と藤吉郎は家族たちと喜び合った。

■ 実は一番ヤバい奴・豊臣秀吉…人質ライフを満喫侍でありながらも主君に逆らって、人を殺さずに済む道を必死で探す秀長を演じた仲野太賀。秀長に兄・秀吉を裏切るよう、黒い瘴気(しょうき)が見えそうな勢いで迫ったかと思えば、仲良しの弟を殺害せざるをえなかった悲しみを、想像をはるかに超える演技で表現した小栗旬。

まさにこの2人の演技合戦という趣のある第6回だったが、その一方で「いやこいつ、相当ヤバかったわ・・・」と改めて思わせた人物がいる。そう、豊臣秀吉だ。

人質となりながらも平然と大飯を食らって、大沢次郎左衛門の愛妻・篠(映美くらら)と親しげに会話を交わして持ち上げる。そういやこの人、もともと人妻と逃げるような女たらしだった。

そして、秀長&次郎左衛門が戻ってこなくても、まるでメロスを待つセリヌンティウスのように「あいつはきっと帰って来る」と悠然と構える。その一方、こっそりと逃げ出す準備をするところも、ちゃっかりした秀吉らしい仕草だけど。

しかし、今回なにげに衝撃的だったのは、秀長が前田利家(大東駿介)から、信長が最初から次郎左衛門を殺す気だということを、秀吉が承知の上でこの調略に臨んだのを聞いたことだ。

つまり自分が大沢家の人質となるのは、自殺行為だということは百も承知の上だったということ。それを知って平然と秀長を送り出したり(秀長が人質になることを申し出たのを即座に断った理由がこれだったとは・・・)、ご飯もりもり食って鵜沼城ライフを満喫してたわけだから、良く考えたらこの神経はなかなか理解しがたい。

■ もはや狂気…なぜ、秀吉は信長を信じる?ではなぜ、そんなことができたのか? 秀吉がライバルの利家に話した通り、信長が自分に伝えた「大沢の城と領地は安堵する」という約束を、なんと言われようと信じ通すことにしたからだ。

そして、秀長が裏でかなり動いたからとはいえ、最終的には誰も死ぬことがない形で、鵜沼城は信長の支配下となった。実は秀吉にとってのメロスは、秀長であると同時に、信長だったということだろう。

秀吉がここまで信長を信じ抜けたのは、前回、松平元康(徳川家康/松下洸平)に「なにがあっても信長を信じること」が出世のコツだと聞いたというのもあるし(それが嘘アドバイスであることを、秀吉はおそらく知らない)、たとえ死んだとしても信長の出世を助けて、信長に感謝されることこそが、自分の最大幸福だと思っていた節もある。

第1回を見た時に、池松版秀吉の行動原理は「承認欲求」が鍵になると推理したけど、どうやら今回それが当てはまった模様だ。

もはや狂気に近いほどの主君への忠義心と「褒められたい」欲が、この先どのように秀吉の出世を助けていくのか、誠に興味深い。回を増すごとに愛嬌がどんどんあふれ出ている池松壮亮の演技とともに、注目していこう。

■ 「犬猿コンビ」に注目!前田利家との関係そして今回、少しキャラクターに変化が出た人がいる。前述の前田利家だ。秀吉に強烈な対抗意識を燃やし、秀吉に信長の本心を伝えたのも親切ではなく、重大な役目を任された者へのやっかみだったと、秀長に正直に告白している。

利家からしたら、秀吉が意気消沈して敵前逃亡して、信長に怒られるぐらいのことを期待していたかもしれないが、秀吉は逆に「それでも殿を信じる!」という、まったく逆の反応をしたわけだ。これだけでも、利家の秀吉の見る目が変わるのは当然だろう。

実は利家も、信長の家臣を殺害して追放されながら、勝手に戦に参加しては手柄を立てて、再び仕えることを許されたという、結構な強火信長担。多分忠誠心は自分が一番ぐらいに思っていただろうが、それを超える勢いの信頼を見せられて、急激に同族意識が芽生えたと思われる。

そういえば『どうする家康』(2023年)で、まったく反りの合わない榊原康政と本多忠勝が良きコンビになれたのも、どちらも「殿がめっちゃ好き!」という点で意気投合していたから。同じ推しがいるというのは、ここまで人間関係を強くするのだ(同担拒否を除く)。

この件によって、きっと強烈なツンから相当なデレへと、妻・まつ(菅井友香)ともども変化しそうな前田利家。実際にこのあと秀吉&寧々夫婦とは家族ぐるみの付き合いとなり、娘を秀吉の養女にしたり、秀長・秀吉亡きあとの豊臣家の面倒を見ることになる・・・のだけど、秀吉の死後わずか1年ぐらいで後を追うように亡くなるわけだから、どんだけこの2人仲が良かったんだろう(笑)。

秀吉&信長だけでなく、秀吉&利家の「犬猿コンビ」の行方と、利家は秀長とはどのような縁を結ぶことになるかも楽しみにしておこう。

大河ドラマ『豊臣兄弟!』はNHK総合で毎週日曜・20時から、NHKBSは18時から、BSP4Kでは12時15分からスタート。2月22日放送の第7回「決死の築城作戦」では、墨俣攻略を命じられた秀吉と秀長が、周辺地域の侍たちを巻き込みながら、前代未聞の築城作戦を進めていくところが描かれる。

文/吉永美和子

【動画】猿にツンデレ…大東駿介演じる前田利家

(Lmaga.jp)

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