劇団四季「ゴースト&レディ」開幕、驚きの連続…必見ポイントは? 当日券の可能性も
『うしおととら』『からくりサーカス』などで知られる藤田和日郎の漫画を舞台化した、劇団四季のオリジナルミュージカル『ゴースト&レディ』が、「大阪四季劇場」(大阪市北区)で5月17日まで上演中。劇場に棲むゴースト・グレイと、ナイチンゲールの知られざるストーリーをファンタジックに描いた舞台の必見ポイントを大紹介!
1.すべては「お芝居」。劇場で上演することを意識したアレンジこの舞台の原作となった『黒博物館 ゴーストアンドレディ』(講談社「モーニング」)は、実在の犯罪や事件を元にした伝奇アクション「黒博物館」シリーズの一作。原作は、ロンドンの「ドルーリー・レーン劇場」のシアターゴースト・グレイ(実際にいるという噂!)が、博物館の女性に思い出を語るという構成になっている。しかしミュージカルでは、グレイが自分の経験をお芝居にして、それを観客の前で発表するという設定に! 劇場空間で立体化するからこそ、という趣向に最初からワクワクしてしまう。
物語は、19世紀なかばに看護師の地位向上と、医療現場の改善に大きく貢献したフロー(フローレンス・ナイチンゲール)とグレイが、劇場で出会ったことから始まる。看護の道に進むという夢を家族にはばまれ、生きることに絶望しているフローは、グレイに「自分を殺してほしい」と申し出る。芝居好きのグレイは、この状況をよりドラマティックにするために、フローがもっとも絶望をしたときに殺すと約束。しかし結果的に、フローが看護師となることに手を貸す形となり、彼女は絶望する暇もなく夢に向かって突き進んでいく。
2.劇場に本物のゴースト? イリュージョンを多用した演出に驚き原作の漫画は、生前は凄腕の決闘代理人だったグレイが、人間をむしばむ「生霊」を倒していくという、アクションの要素が強かった。しかし舞台では、アクション部分を最小限に。その代わり、グレイがゴーストならではの神出鬼没の現れ方をするとか、魂の存在をビックリするような方法で表現するとか、イリュージョンを多用した演出で観客を盛り上げる。本当にゴーストが出たのでは? と、一瞬考えてしまいそうなほどリアルだ。
さらにフローの元恋人や看護師仲間など、フローの周辺にオリジナルキャラクターを追加。彼女の仕事がいかに超人的だったかを、彼らと対比することで際立たせる。クリミア戦争の従軍看護師に志願したフローは、軍人たちの反発を受けながらも、劣悪な兵舎病院の環境を改善していく。「ランプの貴婦人」「クリミアの天使」と称賛されるようになったフローだが、彼女に嫉妬するジョン・ホール軍医長官と、グレイと因縁を持つゴーストのデオン・ド・ボーモンに狙われるようになる…。
3.いつしか最高のバディとなる、グレイ&フローの変化にときめく1幕はフローが次々と困難を乗り越える姿にスカッとして、2幕はグレイの過去と、ホール&デオン(これまた実在の人物をモデルにしているというのが驚き!)との対決にドキドキハラハラする。そしてフローとグレイも、当初の「殺してほしい/殺してやる」という物騒な関係がじょじょに変化していき、恋愛や友情なんていうありきたりの言葉では語れない、なんともヘンテコだけど見ていて羨ましくなるような関係に変わっていく。この2人の心境の変化や本音が、歌を使って観客に明快に届けられるのが、ミュージカルという表現の強みだ。
大きな困難に対して励ましあい、理解しあい、そしてともに戦う2人。その関係の終着点は、原作漫画同様の大きな感動が押し寄せる。その一方で、静かな余韻を残した原作とはまた違う、劇場という空間を生かしたダイナミックなエンディングは、グレイがしばしば引用するシェイクスピアのセリフを借りれば、最大級の「終わりよければ、すべてよし」な光景だった。
原作ファンはもちろん、ミュージカル初心者にとっても、飛び切りの冒険と最高のバディの関係に胸を躍らせ、魅力的なキャラクターに酔いしれ(個人的にはデオン様にシビレた!)、正統派のクラシカル系からケルト音楽まで取り入れた多彩な音楽で、心に水を与えられるような満ち足りた気持ちになれるはず。ぜひ大阪で上演している間に、この世界を体験してほしい。
チケット料金はS席1万2000円~1万4000円、A席9500円~1万500円、B席7500円~8500円、C席4500円~5500円(料金は日時によって変動)。前売完売の場合も、前日予約や当日券が出る場合あり。
また、劇団四季idセンターへ登録(無料)すると利用できる「メールコンシェルジュ」というサービスもオススメ。事前に設定した希望公演の座席情報を、いち早くメールでお知らせしてくれる。最新情報は劇団四季のオフィシャルウェブサイトで確認を。
取材・文/吉永美和子
(Lmaga.jp)
