今いちばん気になる舞台女優・sara「軽い存在でいたくて」

「ルーツが分からないってなんだかいいですよね」と、自身の芸名について話すsara。2000年生まれ、兵庫出身のミュージカル女優だ。

2023年2月に華々しくグランドミュージカルデビューを飾ったと思えば、7月に開幕するミュージカル『ファントム』ではヒロインに大抜擢。

本作への意気込みはもちろん、「突如現れた期待の星」とも言えるsaraをもっと知るべく、質問をいろいろと投げかけてみると…「原点は早稲田大学」で「生粋のオーディション好き」など、いろいろなエピソードが飛び出してきた。

写真/バンリ

■ 「人生のなかで1番大きな出来事だった」──saraさんの認知度がグッと上がったきかっけミュージカル『ドリームガールズ』は2023年3月に幕を閉じました。初のグランドミュージカル、そして主要キャストでの出演と、周りの反響も大きかったのではないでしょうか?

大きかったですね、予想以上にいろんな人が見に来てくれていて。「あの人も来てたんだ!」みたいな。

──始まる前と終えた後で、世界の見え方って変わったりしましたか?

制作発表から数えると半年間くらいの長いプロジェクトで…かつ自分にとってはすべてが初めてだったので、1回1回ぶつかっては「うお~」、ぶつかっては「うお~」とエネルギーを消耗し続けていました。あれを乗り越えられたというのは、人生のなかで1番大きな出来事で、多分これからの自信になるだろうなぁという感じですね。

──あの作品はひとりの女の子が立派な女性として成長していく物語ですが、なんだかsaraさんの成長を客席から目撃しているような不思議な感覚もあって。

『ドリームガールズ』は女性のお話なので、座長の望海風斗さんはじめ、女性の先輩方にたくさん助けて頂いたんです。距離感が近かったのもあって、プレッシャーに対してどう打ち勝っていくのか? だったり、舞台に対するメンテナンス、気持ちの持ちようなども教えてもらい、自分の先をゆく先輩たちの姿から元気や勇気をもらいました。そしてそういう女性が3人もいて、すごくありがたい環境でグランドミュージカルができたなと思います。

■ 「オーディションは自己紹介、緊張しない」──次なる『ファントム』では、「女性の園」からはだいぶ違った雰囲気になるかと思います。この作品もオーディションで決まったんですか?

はい、オーディションでした。(演出・主演を務める)城田優さん、振り付けや歌唱指導の方がいるなかで審査していただいた、という感じですね。

──数々のオーディションを受けてこられたなかで、『ファントム』オーディションでの「コレだ!」という手応えはどこにありましたか?

そもそもオーディションが好きなんですよね、全然緊張しなくて。モノにもよるのですが、オーディションは行ってもしダメだったら今後お会いしないことになるじゃないですか。だから自己紹介みたいな感じで「お願いします!こういう人間です!」と臨んで、ダメだったら「さようなら!」という考え方なんですよね(笑)

──かなり潔いですね(笑)

潔いです。なので稽古の方がよっぽど緊張するんです。そこから2カ月ご一緒するので、「もし変なことしちゃったらどうしよう」と萎縮してしまいます。

『ファントム』のオーディションでは城田さんがあたたかい雰囲気を作ってくださったこともあり、ほどけてできました。でも歌に関しては、私はずっとR&Bをやってきたので、クリスティーヌは本当に真逆。挑戦したことが無いジャンルだったので、オーディションでは自分のできる最大限はやったけど荒削りで…どうなるかわからないという不安はありましたね。

■ 「saraという名前はマネージャーさんが提案」──インタビュー前に、改めて『ファントム』の歌を聴き直していたのですが、最初の入りからまぁ難しい。

難しいですね、今すごい練習しています。城田さんはお芝居の延長線での歌を重要視されているので、歌を歌として歌っていたらダメなんです。歌を歌いこなしたうえで、芝居の延長線になるくらいでないといけない。超えるべき壁がたくさんあります。

もし「今歌入れる状況だった~?」とか聞かれると「すいません、まだそこまで感情きてなかったです」みたいなことになってしまうかもしれない(苦笑)。城田さんは役者さんとしても作品を見てらっしゃるので、逃げられない。

──ちなみに会見では、そんな城田さんがsaraさんの実力に惚れ込んだ、という話をされていました。そしてイメージカラーを「白」と表現されていたのが印象に残っていて。

ああいうふうに言っていただけてうれしかったです。「白」に関しては、sara(まっさら)という名前と通ずるところもあって。これは1番最初にお世話になったマネージャーさんが「saraっていいよね、ピンときたんだけど、どう?」と思いつきで提案してくれたんです。

それまでは画数が…とか、名字は…とか色々考えていたのですが、それを全部やめてsaraにしようということになりました。

──じゃあ意味というより、音と…。

軽さ? 城田さんもそういうふうに言ってくださっていて納得したのですが、私もそういう「軽い」存在でいたくて。作品によっていろんな自分を出せたらと思っています。

ひとつって面白くないじゃないですか、きっといろんな要素があるから面白い。自分でもそうありたいと思うし、「sara」は気に入っていますね。ルーツが分からないっていうのが自分にとっては支えというか、なんかいいなと思っています。

■ 「自分を引き戻してくれるのが早稲田」──それこそ「ルーツ」にも繋がるかもしれませんが、学生時代は早稲田大学で文学を深く勉強されていたんだとか。

最初は「演劇と繋がったらいいな~」と思って文学を勉強し始めたのですが、やっていくうちに変わっていって、想像していた活用方法ではなくなったんです。例えばどう脚本に向き合うかとか、そういった方に作用していて、そこは早稲田の時代に試行錯誤したことが生かされているなと思いますね。

──脚本への解像度というのでしょうか?

そうですね、私は英語で文学を学ぶ学科にいたのですが、いろんなバックグラウンドの人が一斉に同じ本を読むっていうのがあって、すごく面白かったんです。やっぱりルーツが違うと注目する場所も違ってくる。「私はこの登場人物がこう思った」という意見を持っていたとしても、例えば中国出身の子は「私はココがムカついた」「ええなんで~?」と聞くとそこにはきちんとした考えがあるんです。

演劇でも稽古のなかではいろんな人の意見を「聞く」ということが起点になっていて。文学もその人のことを「聞く」「知る」から始まってるので、そういう意味では(演劇も)早稲田でやってたことと変わらないですね。今でもふわふわしちゃうとき、自分を引き戻してくれるのが早稲田という感じです。卒業するのはそれはもう大変でしたが…(笑)

──最後に、今後どんな女優として活躍していきたいか。チャレンジしてみたい作品などあれば教えてください。

一人芝居がやりたいです、絶対。あとは、新作というかまだ作っていないものをやりたい。新しいことに挑戦するのが好きなんです。ミュージカルの可能性はすごく大きいから、日本でも新しいミュージカルが増えていったらいいなと思うし、社会と繋がるという意味でも、取り上げられていない人たちがもっとミュージカルで取り上げられたらいいのになとも思います。

ミュージカルは門戸が広いので、子どもも楽しめるという部分もあるし、まだ日が当たっていない問題もたくさんあるので、そことリンクできたらおもしろいと思いますね。これもひとつの夢ですね。

◇

ミュージカル『ファントム』は、saraのほか加藤和樹、城田優(演出も兼任)、真彩希帆、大野拓朗、石田ニコル、皆本麻帆などが出演。7月22日~8月6日に「梅田芸術劇場 メインホール」(大阪市北区)にて上演。チケットはS席1万4000円ほか、現在発売中。

(Lmaga.jp)

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