馬場園梓、アジアン解散で見えた新境地「1年目に戻ったみたいな気持ち」

渡辺直美や斎藤司(トレンディエンジェル)など、ここ数年、ミュージカルの舞台で活躍するお笑い芸人が増えている。漫才コンビ「アジアン」解散後、ピン芸人として再スタートを切った馬場園梓もその一角に加わるかもしれない。

ふくよかな体型と歌唱力を武器に、ミュージカル『SUNNY』に出演する馬場園に、現在の心境や高校時代の意外な話、そしてコンビの解散や今後について、ざっくばらんに語ってもらった。

取材・文/吉永美和子 写真/木村正史

■ 「もし痩せて『きれいになった』と言われたとしても・・・」──『SUNNY』は、世界各国でリメイクが作られた同名韓国映画が原作です。今回は80年代に生きる女子高生たちと、現代の彼女らの物語が同時に描かれるとのことで、80年代のJ-POPがたくさん出てきますが、馬場園さんはちょうどこの頃、小学生ですね。

母親がカラオケスナックで働いていたので、子どもの頃からテレサ・テンとか、よく歌っていました。この時代の曲には濃厚な思い出がたくさんあるし、本当に好きなものばかりです。音楽って、すごく思い出がよみがえるじゃないですか? くだらない友だち同士のやり取りまで、音楽をきっかけにたくさんよみがえって、懐かしい気持ちになるってことは、みなさんもあると思うので、舞台で歌わせていただくのが楽しみです。

──馬場園さんは現代のパートで、グループのムードメーカーだった女性を演じますが、役柄に体型が似ているところもポイントと聞いて、「なんでも痩せたらいいってもんじゃないんだな」と、改めて確信させてもらいました。

それ! それが言いたい(笑)。もし痩せて「きれいになった」と言われたとしても、それだと『SUNNY』には呼ばれてなかったわけですからね。この世界はいろんなキャラクターがあることが大事だから。

──ミュージカルは、普段から親しんでいましたか?

映像ではたまに観てましたが、生の舞台はまだ観たことがないんです。本格的なミュージカルにはもちろん憧れがありましたけど、私なんかが出られるような場所ではないと思っていたので、本当にまさかのオファーでしたね。周りが元宝塚のトップスターの方とか、大女優さんばかりなので、絶対に足を引っ張らないようにしたいです。最初の顔合わせのときは「なにかあったら、めちゃくちゃ怒ってください!」って言おうと思っています。

──とはいえ、渡辺直美さんが『ヘアスプレー』に主演するなど、大作ミュージカルに出演する芸人さんが年々増えて、どんどん「出られるような場所」になってきていますね。

やっぱり芸人のみなさんは器用ですからね。直美ちゃんは歌も上手いし、ダンスも・・・あれだけ動けたら、それは世界中が感動しますよ。私はリズム感がないので、あそこまでできる気はしないんですけど、目標にしたいです。

■ 「高2のときに親友と吉本の養成所に入ったのがきっかけ」──物語はキラキラしたかつての高校生活と、現実に直面する現代女性たちの生活が並行して描かれますが、馬場園さんの高校生活はいかがでしたか? 一時期は不登校になっていたとか。

『SUNNY』のように、仲良しグループと一緒に遊んでたという思い出は、中学時代の方がたくさんありますね。高校に入る前に両親が離婚して、それで精神的にダメージがあったのか・・・自分では落ち込んでるとは思っていなかったんですけど、身体がついていかなくなったんです。学校に行こうとすると、お腹が痛くなってどうしても行かれへん、みたいな日々が続いてました。

──それを克服できたのは?

母親が、そのことを変に心配するタイプじゃなくて、むしろ「うっとうしいなあ! 気ぃ向いたら行きや!」って言うような人で。だからこっちも「すんません! 行けたら行きます!」って感じで、そんなに気まずい雰囲気じゃなかったんです。引くに引けなくなるという状況にはならなかったのが、逆に良かったんだと思います。

──お母さま、タフですね。芸人を目指そうと思ったのは、そのあとですか?

普通に学校に通えるようになってから、お笑いのことを話したり、一緒にネタを作るような親友ができまして。高2のときにその子と一緒に、吉本の養成所に入ったのがきっかけでした。いつもお笑いの勉強で忙しくて、文化祭とかには出られなかったから、キラキラした高校生活ではなかったです(笑)。でも養成所には、同期の女の子が10人ぐらいいたので、その子たちと一緒にご飯を食べたり、映画を観たりとか、そういう青春はありました。

■ 「自分のお笑いのジャンルが、まるっきり変わった」──3月には単独ライブをおこない、まさに今は「1人でなにができるのか?」を、模索している最中ではないかと思います。

そうですね。ライブでは、1人でコントや漫談をやったんですけど、自分のお笑いのジャンルが、まるっきり変わったことを実感しました。コンビであれば「ここでこう言ってくれるんやろうな」と思っていた合いの手が全然ないんで。でもそれがめちゃくちゃ刺激的で、(芸人)1年目に戻ったみたいな気持ちになって、すごくやりがいを感じました。

──You Tubeの公式チャンネルに上がっていたネタを拝見したんですが、怪しい講師が女性にモテるコツを教えるという、割とスタンダードなネタながらも、不思議な新鮮さがあって面白かったです。

ありがとうございます。「どこにそんな根拠あんねん?」というようなことを、堂々と当たり前みたいに言うのがおもしろいな、と思ったネタです。こういう笑いって、漫才ではやったことがなかったんですよ。落語とはまた違った新しいピン芸を作っていきたいし、ほかにもいろいろやっていけたらと思います。

──だとすると『SUNNY』では、歌とダンスのスキルを徹底的に叩き込まれるのは間違いないから、芸の幅も広がりそうですね。

いけますかねえ? でも、できることはひとつでも多い方がいいと思うし、武器になっていくと思います。この前のライブでも、1曲だけ歌が売れたオバハン歌手のコントをやって楽しかったので、それプラスダンスもできたら、もっと面白くなるかもしれない。今後も芸人としての舞台をすごく大事にしながら、女優さんの仕事もオファーがあれば全力でやらせていただこうと思っています。

──『SUNNY』は、どのような舞台になりそうな予感がしますか?

私は原作映画が大好きなのですが、それはすごく人間関係が清々しいから。今はSNSやネットを使った陰湿な人間関係のもめごとが多い時代ですが、映画を観たときに、人と人とが直接自分の思いを伝え合い、お互いを理解し合うことをこれから先もなくしてはいけないと思いました。そのことを感じてもらいつつ、自分の青春時代を懐かしく思い出しながら、楽しんでいただける舞台になるんじゃないかな? と思います。

──『SUNNY』では「つらいことがあったときは、高校時代の写真を見る」という話が出てきますが、馬場園さんも元気がないときに見るものってありますか?

やっぱりプロレスですね。元気があるときも見るんですけど(笑)。プロレスは負けたときの心の葛藤や、次に勝つためにはどうすればいいか? など、立ち上がるところが見られるんですよ。だから落ち込んだときにプロレスを見ると「あ、私もがんばらなあかんな」ってなります。

──そのなかでも、特にお気に入りの対戦は。

(即答で)1993年1月4日の、長州(力)さんと天龍(源一郎)さんの東京ドームの試合。魂が揺さぶられて感極まり、1番元気が出ます。

馬場園以外には、花總まり、瀬奈じゅん、小林綾子、佐藤仁美、渡邉美穂、須藤茉麻、片桐仁などが出演。脚本・演出は西田征史が担当する。6月の東京公演を経て、大阪は7月9~13日に「梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ」にて。チケットは1万2500円で、現在発売中。

(Lmaga.jp)

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