一足先に「夏祭り」を体験、大阪で半世紀ぶり…高知県が産んだ天才絵師の展覧会

異彩を放つ芝居絵で知られる絵師・金蔵の展覧会『幕末土佐の天才絵師 絵金』が、4月22日から「あべのハルカス美術館」(大阪市阿倍野区)でスタート。作品を所蔵する高知県外では、約半世紀ぶりの大規模展となる。

幕末から明治初期にかけて、歌舞伎など数多くの「芝居絵」を大胆に描き、地元の高知県で「絵金さん」の愛称で親しまれてきた金蔵。現代でも高知県各所の夏祭りでは、神社や商家に絵金の屏風絵を飾る風習が残り、蝋燭の灯りで闇に浮かび上がる鮮烈な光景はSNSでも話題に。

同展では、屏風絵や墨画など約100点を通して「謎の天才絵師」の魅力を紹介する。なかでも、第1章の「芝居絵」の数々は最高傑作といわれ、前・後期で入れ替えて展示をおこなう。歌舞伎の人気演目『忠臣蔵』『義経千本桜』などの名場面がダイナミックに描かれている。

これまで絵金作品に携わってきた横田恵さんは、同展の見どころについて「ビビットな赤色が目を引く配色の巧みさが特徴的。背景に次の場面があったり、1枚で物語を楽しめる工夫も。長い芝居の中で、絵金はどの場面を選んだのか注目してほしいです」と話す。

さらに、「高知の夏祭り」を再現した展示室も。入口には朝倉神社の夏祭りに登場する山門型の絵馬台が立ち、来館者は下を通り、表と裏の芝居絵を鑑賞できる。ほかにも、大盗賊・石川五右衛門の物語が描かれた絵馬提灯などがずらりと並び、参道を歩く気分で現地の祭りを疑似体験できそうだ。

近年の「怖い絵」ブームで、血など残酷な場面でも注目される絵金だが、横田さんは「血への執着はなく、あくまでも物語を象徴する一場面として描いた印象ですね。大衆に知られた演目を描き、あれこれ談議ができる作品が多いので、幅広く受け入れられたのでは」と分析する。

場所は「あべのハルカス」16階の「あべのハルカス美術館」にて、期間は6月18日まで。会期中は展示替えあり(前期は5月21日まで・後期は5月23日から)。料金は一般1600円ほか。

取材・文・写真/塩屋薫

(Lmaga.jp)

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