見取り図リリー、『カラヴァッジョ』を観る【アート連載】

アート大好き芸人「見取り図」リリーが、色々なアートミュージアムを実際に観に行き、美術の教員免許を持つ僕なりのおすすめポイントをお届けするという企画でございます。今回は、「あべのハルカス美術館」(大阪市阿倍野区)でおこなわれている『カラヴァッジョ展』です。

ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョをひと言で表すと、もう無茶苦茶な人です。かなりの問題を起こして捕まったりもしますが、さらに脱獄しちゃったりもします! そんな粗暴な性格の反面、絵の技術は繊細で、世界で絵の上手い画家のひとりだと僕は思っています。

なので「アートってなに?」「むずかしい」「わけわからん」「意味不明」「リリー大好き」「リリーさん結婚して下さい」「リリー様にキャデラック買ってあげたい」などなど、あらゆる人が観に行ったとしても、絵の美しさを観るだけでも相当楽しめると思います。

まず、観て欲しいのは『リュート弾き』という作品。光と影を巧みに描き、リュートを弾く若者を写実的に描いています。実は、この手法はあの「王の画家にして画家の王」と言われたルーベンスや、「光の魔術師」レンブラントなどに影響を与えているほど。とりあえず、超すごいんです。

人物だけでなく、左端の花瓶には花びらの細かい露やガラスに映る部屋なども実に鮮明。また、中央下に楽譜が描かれているのですが、そのときに実際演奏されていた楽譜を正確に描いてるんです。ただこれだけじゃないんです!

美術館でこんな事しているのを初めて見ましたが、ボタンをポチッと押すと、なんと『リュート弾き』の楽譜に書いている音楽を実際に聴く事ができるんです。目だけじゃなく耳でも名画を感じれるんですね。だから、静かな美術館のはずなのに、リュートの音がポロンポロンと。

漫才を観に行ってみたら出囃子がオーケストラで壮大だったみたいな感じでしょうか。いや違うか・・・映画観に行ったら無料で3Dだったみたいな感じか、いや違う・・・ラーメン食べにいったらお好み焼きが出てきてそれがかっちかちに冷凍されてたみたいな感じか・・・はぁ!? 諦めます。

そして、これもすごかった。『執筆する聖ヒエロニムス』。光と影、構図、ヒエロニムス(キリスト教の聖人でエライ人!)の表情、どれをとっても圧巻。しかも、何がすごいって、カラヴァッジョは、基本いきなり一発描きなんです。大抵の画家は習作を重ねていって作品にするんですが、いきなり描いて、この絵の上手さは異常です。この作品と対面する『悲嘆に暮れるマグダラのマリア』は逆に、ほぼないと言われている習作。この2点は大阪でしか観れませんので、絶対観ておきましょう。

あとは、『法悦のマグダラのマリア』ですね。マリアのなんとも言えない法悦(宗教的エクスタシーって意味ですね)の表現、目からは涙が流れ、観れば観るほどこの作品に釘付けになります。そして左上をよく観ると十字架が見えるんです。本当によく観ないと観えません。僕は観えましたが一緒に来ていた吉本の社員さんたちには観えてないようでした。心が清い人にしか観えないのかもしれません。

『カラヴァッジョ展』

西洋美術史上最大の変革を起こした画家と呼ばれるが、殺人を犯して、38歳という若さで非業の死を遂げたことでも有名。今回は日本初出品を含む10点(帰属作品含む)と、彼の作風に学んだ「カラヴァッジェスキ」と呼ばれる追随者の作品も展示し、彼が与えた影響の大きさを知ることができる。期間は2月16日まで、入場料金は一般1600円、大高生1200円、中小生600円。

見取り図の近況

レギュラーメンバーとして出演する「よしもと漫才劇場」の5周年記念で『上方漫才協会大賞 大賞受賞者5組集結 全国ツアー』や『M-1ツアースペシャル』で各地を巡っています。大阪チャンネル・GAORAの番組『ろくでなし見取り図』で、『ろくでなしミトリズ青春あたおか修学旅行in淡路島』が決定。1月31日からチケット発売(抽選)。

(Lmaga.jp)

関連ニュース

編集者のオススメ記事

関西最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(芸能)

    話題の写真ランキング

    デイリーおすすめアイテム

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス