前衛を貫いた日本画家・下村良之介、神戸で回顧展
「BBプラザ美術館」(神戸市灘区)で、開館10周年を記念した展覧会『下村良之介 遊び礼讃』が、2020年2月16日まで開催されている。
下村良之介(1923~1998)は、京都を拠点に活躍した日本画家。彼は大阪の能楽師の家に生まれ、京都市立絵画専門学校(現・京都市立芸術大学)を卒業。満州と台湾での戦争体験を経て復員し、1949年にパンリアル美術協会の結成に参加する。日本画の革新を提唱した同団体の中心人物として活躍し、晩年まで旺盛な活動を展開した。また、「やけもの」と称した陶芸作品や、版画、挿画、舞台美術など多彩な創作活動をおこなったことでも知られている。
下村作品の大きな特徴は、レリーフ状の画面と、「鳥」のモチーフだ。画面はベニヤ板の上にボンド、紙粘土、絵具を塗り付け、上から薄麻紙をかぶせ、さらに手製の木型やコテを押し付けて成型している。とても日本画とは思えない斬新な手法だ。また、「鳥」は象徴的な姿で表現されている。それは自由を希求する精神の現れと言えよう。そして彼を前衛的な表現に向かわせた背景には、敗戦により旧来の価値観がひっくりかえった事実があることを忘れてはならない。
本展は前後期2部構成で合計約70点が展示される(作品の入れ替えあり)。可能であれば両方とも見ておきたいが、どちらかの期間だけでも下村の画業を展観できるのでご安心を。料金は一般400円。前期は12月22日まで、後期は1月7日から2月16日まで。
取材・文・写真/小吹隆文(美術ライター)
(Lmaga.jp)
