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星稜・山下総監督&西谷監督対談【1】

 2016年、高校野球は次の100年が始まる。デイリースポーツでは評論家の山下智茂氏(70)=星稜総監督=が全国を旅し、次世代の高校球界を考える新企画をスタート。第一弾は春夏連覇など監督として自身4度の甲子園優勝を成し遂げた大阪桐蔭・西谷浩一監督(46)を直撃した。生駒山地の自然に囲まれた大阪府大東市の同校では、山での走り込みや神社の階段登りなど昔から変わらない冬場のトレーニングが繰り広げられていた。練習を初視察した山下氏が強さの秘密に迫った。(取材、構成=編集委員・船曳陽子、重松健三)

  ◇  ◇

 山下監督(以下、山)「本当にいい練習をしているね。うち(星稜)は雪国だし、私はずっと、野球は冬にうまくなると思ってきた。最近は器具を使ったトレーニングが多いけど、ここは素朴な練習で体幹や下半身を鍛えている。強さの秘密は原点にありだね」

 西谷監督(以下、西)「ウエートトレーニングもするんですが、あくまで人工的なもののようで、それだけだったら“芯”ができない気がします。あれ(山でのメニュー)は3日に1回くらいあるんです」

 -おんぶして走るとか、短い距離ながらウサギ跳びも。

 西「ウサギ跳びイコール古い練習みたいに思われる。でも、今の子はこういうことをやらせてたらものすごい弱いんです。ウエートのスクワットとかならグッと上げられるのに。ウサギ跳びでもグラウンド1周とかじゃなく、短い距離で5本10本だったらできる。その力はすごい生きると思います。温故知新というような練習メニューはあります。馬跳びなどにも大事なことはたくさん含まれている」

 山「山での厳しいトレーニングでも選手が生き生きしていたのには驚いた。監督がユーモアのあるゲキを飛ばして明るい。1時間45分くらいやっていたけど、私には20分くらいに感じたよ」

 西「グラウンドのメニューとは雰囲気が全然違います。ノックは全然違う。もっと張り詰めてます。(山登りは)帽子をかぶってなかったでしょ?グラウンドの中で走る時は帽子をかぶっています。山では帽子を脱ぐ。決めてるわけではないけど、帽子を脱ぐメニューは、少しばかにならないとできない部分があるのかも。藤浪(阪神)なんかは足が長かったんで、階段登りとか苦手で全然できなかったんです。でも、2年目になったらガッガッとできるようになりました」

 山「今の若い監督さんは、数字に出るメニューは喜んでやるけど、あれは数字に出ない。僕たちもそういう練習しかやらなかっただけに、間違ってなかったんだと思ったね」

 西「足の裏の力が大事なんですね。土をつかむ感覚。うちは学校からグラウンドまでバスなんですが、1年生はアップを兼ねて4月から6月までの約3カ月、山道を約20~30分登って来させます。土のけもの道できついですが、これで中学生から高校生の体になります」

 山「あの(傾斜の)角度でそれだけのトレーニングをやったら、それは下半身つくでしょう」

 西「打者はバットを振りこむことで下半身ができる。投手は投げることでできる」

 山「松井(秀喜)なんかは、バッティングは素振りだっていうね。ティーバッティングじゃない、素振りだって。ティーだと肩が開いてしまうからと」

 西「根気がいりますからね。うちは夕飯後に毎日1時間バットを振っているんです。今の子は根気がないんで、1時間きっちり振るってなかなかできない。本気で没頭してやることができる子は少ない。1時間ずっと見ていてもなかなかできない。根気的なものは年々弱くなってきている部分だと思います。松井さんも長嶋監督と素振りをやったとか。本当に(体を)つくるのはスイングだと聞きました。研ぎ澄まして(スイングの)音を聞くほど集中してできるかどうか。自分の世界に入って、かつ投手のボールに合わせてどうできるか。毎日それをやっているんですが、僕が見張ったらできるんです。でも、外からの刺激じゃなく(自分の)中からできないかと思います。でも、今の子は素直なんで『今日は途中から集中できませんでした』と言うんです。でも、これができるようにならないといかん。フォームだけじゃなく精神力も鍛えようということです」

 山「昔の選手は映画を見に行っても、映画館で(バットを)振っていたというよね」=続く

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