大阪桐蔭V 福島志願の人生初連投!

 「全国高校野球・決勝、大阪桐蔭4-3三重」(25日、甲子園)

 決勝戦が行われ、大阪桐蔭が逆転で三重を下し、参加3917校の頂点に立った。藤浪晋太郎投手(現阪神)を擁して春夏連覇した12年以来2年ぶり4度目の優勝となった。連投のエース・福島孝輔投手(3年)が3失点完投。前回優勝時のようなドラフト上位候補はいない中、総合力で栄冠をつかんだ。大阪桐蔭は春夏の甲子園決勝成績を5戦全勝とした。

 これまでの苦しみが歓喜に昇華した。最後の打者を遊ゴロに打ち取り、アウトのコールを見届けた大阪桐蔭・福島は、顔をクシャクシャにして両手を突き上げた。苦楽をともにしたナインの輪が、あっという間にマウンドにできる。みんなでたどり着いた頂点だ。

 「今までのきつかった練習のこととかが浮かんできて…校歌も歌えませんでした」。感涙にむせぶ姿が激闘を物語った。重い腕を振り、気力で三重の強打線に立ち向かった。二回、五回とリードされても、味方が追いつき、逆転してくれた。粘り強く低めを突き続け、11安打を浴びながら3失点で切り抜けた。

 前夜に人生初という連投を志願した。敦賀気比との準決勝は160球で完投したものの9失点。宿舎で西谷浩一監督(44)に呼ばれ「明日はどうしたいんや?」と聞かれた。汚名返上に燃える右腕は「アタマから(先発で)行きたいです」と即答。期待に応える力投に、指揮官は「福島はエース。最後は3年生の意地にかけた」と目を細めた。

 昨秋の大阪大会4回戦で履正社にコールド負けしたチームだ。藤浪、森(現西武)らがいた2年前と違い、ドラフト上位候補に名が挙がるスターはいない。

 歴代エースと違い、福島は中学まで捕手だった。それでも「僕らが1年生の時の3年生に比べたらヘタクソだけど、日本一になりたい気持ちは同じぐらい持っている」と言う。

 七回1死三塁のピンチ。スライダーの握りのまま「とっさに」スクイズを外してみせたのは、まばゆい才能との差を埋めるべく取り組んだ厳しい練習の成果だ。今大会4試合で完投。背番号「1」の誇りを見せつけた。

 「彼らは自分の見えないところで結束してきたんだと思う。いいチームだったんだなと。少しずつ伝統の力がついてきたのかな」。西谷監督はそう言って笑った。確かに受け継がれていた「TOIN」のDNAが、4度目の栄冠をもたらした。

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