福井商・中村いつかプロの世界で兄と

 「全国高校野球・3回戦、常総学院9-1福井商」(18日、甲子園)

 兄に負けないプレーができたと、胸を張って言える。最後は8点差の完敗だったが、悔いが残るサインは一つもない。「大舞台でも落ち着いて、大胆にリードできた」。涙が乾くと、福井商・中村辰哉捕手(3年)は誇らしげに笑った。

 プロ野球・ヤクルトで捕手を務める兄・悠平が、初めて甲子園に応援に来てくれた。福井商で07、08年と夏の甲子園に出場。5歳下の中村辰は、その勇姿をアルプス席で見つめながら「自分もここで」と心に誓った。

 8強入りをかけた常総学院戦。左手のミットは高校入学時に兄が買ってくれたものだ。何度も修理を重ね、3年間使い続けた。前夜届いたメールは「あした頑張れよ」。口数が少ない兄らしいひと言に勇気づけられた。

 先発の長谷川を強気の配球で支えた。辛抱強く戦ったが、0‐3で迎えた九回、常総学院打線につかまり6点を失った。兄ならどうやって連打を食い止めただろうか。

 兄は2度の甲子園で1勝。弟は2勝を挙げた。「軽く超えられましたね。負けたけど、彼なりによくやっていた。感動しました」。アルプスの兄は、主将としてもチームを引っ張った弟を頼もしげに見つめていた。

 「兄と同じ舞台に立って、3回戦まで進めたのは誇りに思う」。しっかり前を向いて、中村辰は聖地をあとにした。卒業後は大学進学を希望。いつかプロの世界で兄と一緒にプレーするために、まだまだ鍛錬の日々を続ける。

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