済美・安楽、無失点で甲子園に行く!

 センバツ準優勝の済美のエース・安楽智大投手(2年)が、夏に向け進化した姿を披露している。センバツのあと右手首の故障で出遅れがあったものの、復帰後はスタミナ強化や球数を減らす投球術の習得など、急ピッチで課題に取り組んできた。「無失点で甲子園に行く」。大きな目標を掲げるMAX152キロの怪物は、7月13日開幕の愛媛大会へ総仕上げに入る。

 気温30度を超えるグラウンドに、安楽は真冬用の分厚いジャンパーを着て現れた。そんな格好をしている選手はほかにはいない。

 「中にもう一枚、薄手のウインドブレーカーを着ています。汗びっしょりになりますね。センバツが終わってから、ずっと続けています」

 しゃく熱のマウンドを想定した対策。その姿のまま、アップや走り込みなどのメニューを消化した。「夏は体力勝負。ほかの投手より終盤に強い、というところを見せたい」と、その意図を明かした。

春は“弱さ”痛感 772球の熱投で準優勝したセンバツ。球数が議論を巻き起こすなど注目を浴びた大会を「悔しい思いが強い」と振り返る。決勝戦で浦和学院に集中打を浴び、6回9失点KO。1‐17の大敗に号泣し、3連投に耐えられなかった自らの“弱さ”を痛感した。

 大会後は想定外の試練にも直面した。3回戦の済々黌戦で打球が直撃した右手首が、検査の結果「骨挫傷で全治4週間」と診断され、4月末までノースロー。「野球を始めたときから、4週間も球を投げなかったのは初めて。つらかった」

 それでもポジティブな“怪物”はへこたれない。「これも自分に与えられた課題だと思って乗り越えたい」と、走り込みなど地道なトレーニングを続けた。5月3日、春の四国大会で実戦復帰。出遅れを取り返すように、急ピッチで調整を進めてきた。

 「県大会無失点で甲子園に行く」‐。安楽が掲げる夏の目標だ。そして取り組むべき課題として「スタミナ強化」と「3球勝負」を挙げる。

 「スタミナ強化」は徹底した走り込みや、ジャンパーを着込んでの練習、さらに夏バテしないように食事の量や質に気を使うことで向上を図っている。

 「3球勝負」は、球数を減らすための意識改革だ。「いかに無駄な球をなくすか。制球力を磨くと同時に、どうすれば打者が初球から振ってくれるか、変化球の配球もいろいろ考えています」

理想は桐光松井 理想像として挙げたのが桐光学園・松井裕樹だ。「松井さんは15三振を取っても球数は110球くらい。そういう投球をしたい」

 1日の関西遠征では、初戦の京都外大西戦で最終回に登板し、3者連続で3球三振。続く滝川二戦も7回3安打の好投。2試合で計8回を投げ、球数は86球だった。16日に行った関西との練習試合も109球で完投。暑い夏を戦い抜くための戦略は、確実に成果として表れている。

 打倒・安楽を目指し、他チームは徹底的に研究してくるに違いない。上甲正典監督は「安楽は勝たなければいけないという義務感、プレッシャーを感じている。そこが心配」と話すが、本人は「自信を持って臨みたい」と笑顔。春に逃した「155キロ」と「全国制覇」の夢をまっすぐに見据えながら、怪物が夏のマウンドに乗り込む。

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