【ボート】伊藤将吉が仕上げた低調機が超抜級に大進化

 「ボート記者コラム仕事 賭け事 独り言」

 ボートレース場で使用するエンジンは、1年ごとに新品へと切り替わる。住之江ボートの現行機は、昨年3月15日の一般戦から初下ろし。これまで数々の名勝負を繰り広げてきたが、そろそろ更新期間が迫ってきた。

 年末のSG・グランプリを席巻したエンジンが、その後のレースも大暴れ-、という流れが例年のパターンだが、今回は少し様子が異なる。切り替えを目前にして、実績に乏しい78号機が猛烈に頭角を現してきたのだ。

 2連対率は27%。数字では低調機の部類に入り、昨年の初下ろしから今年初頭まで優出は1回のみ。レースではあまり目立たない凡機だったが、1月の一般戦で伊藤将吉(静岡)が強力な伸び型のスタイルに仕上げて優勝。快進撃の口火を切った。

 次操者の浦田晃嗣(佐賀)は予選通過こそ逃したが、白星で好配当を演出するレースも多く「伸びが良くて他の足もいい」と力強い足色を誇示。今月3日に幕を閉じたレースでは、バトンを受け継いだ鈴木孝明(埼玉)が「直線は上位。出足もしっかり合えば掛かるし(ターン後に)押してくれる」と良機の反応に大満足。自身7回目の優出をアシストした。

 現在開催中のホワイトベア競走は、シリーズの主役・丸岡正典(大阪)とタッグを組み初日から連勝のロケットスタート。「手前の加速感が良くて、その後の伸びもいい」と語るように、伸びを生かした豪快なまくりを連発。予選は7戦6勝とぶっちぎりの成績で首位通過を決めた。

 ここまで短期間にブレイクするエンジンも珍しいが、ボートレースでは乗り手の調整力次第で大化けするエンジンもあれば、逆に転覆などのアクシデントで、上位級から中堅以下へ一気に下降するパターンもある。今回は好素性を引き出した伊藤の手腕に脱帽するしかない。

 誰が乗ってもファンの期待に応えてくれる、数字以上に進化を遂げた78号機。新旧エースの62、56号機や、グランプリで関浩哉(群馬)が優出以降、3節でV2の73号機など、銘柄級エンジンはまだまだ元気いっぱいだが、今や住之江の新たな“エース”と呼んでも過言ではないだろう。記者も舟券を吟味しながら、最後のレースまで奮闘を見守りたい。(関西ボート担当・保田叔久)

関連ニュース

編集者のオススメ記事

レース記者コラム最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(レース)

    話題の写真ランキング

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス