【ボート】レジェンド今村豊に金冠を
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先日幕を閉じたソチ五輪のスキージャンプ・男子ラージヒル個人で銀メダルを獲得した葛西紀明は世界各国から「レジェンド」と呼ばれて称賛されている。41歳になっても世界トップクラスの実力を維持していることに加えて、いろいろな報道から伝わる飾らない人柄も、周囲に「レジェンド」と呼ばせる要因なのだろう。
ボートレース界の「レジェンド」は52歳になってもSG戦線で力走を続ける今村豊=山口・48期・A1=で異論はないだろう。長きに渡って第一線で活躍を続ける水面での実績はもちろん、ピットでも軽妙なトークや立ち振る舞いで抜群の存在感を誇る。レースに敗れた時、さらに新人記者からつたない質問が出ても、丁寧に答える姿はまさに「レジェンド」と呼ぶにふさわしい。
「1枚300円ね。連写なら1枚200円やけえね」‐。G1・下関周年の前検日もピットでは今村の軽快な山口弁が響き渡っていた。記者が次々に写真撮影を依頼しても嫌な顔一つせずに冗談を連発。他の選手が、早くエンジンの調整に取りかかりたくて、バタバタしている姿とはあまりに対照的だった。
話は変わるが、以前、別の種目を担当していた時にハンドボールのスター選手だった宮崎大輔を取材したことがある。実は宮崎の相手チームの取材をするために初めてハンドボールの現場に行ったのだが、試合に負けた宮崎が共同記者会見終了後に、私を含む全員の記者に「まだマイナー種目なので、これからもハンドボールの取材をお願いします」と手を握り、頭を下げて順番に回る姿に驚かされたことがある。
ボートレースも決してメジャーな種目ではない。それだけに今村や先述した葛西や宮崎のような選手がトップレベルに多く誕生すれば、業界の発展にもつながっていくはずだ。
3月に入り、いよいよボートレース界もSGロードがスタートする。第1弾となるボートレースクラシック(総理大臣杯、18~23日・尼崎)に今村の名前がないのは残念だが、今年も今村がSG戦線で大暴れすることは間違いないだろう。個人的には年末のグランプリ(賞金王決定戦)で金メダルならぬ黄金のヘルメットをかぶる「レジェンド」の姿を見ていたい。(関西ボート担当・山本大輔)