野田部宏子、読書で人間観変わった 朝井リョウの大ファン

 【第41回】野田部宏子(29)=福岡・112期=

 野田部はヴィーナスレーサーの中ではやや異彩を放つ存在だ。3カドあり、6号艇なら前付けと、コース取りは果敢。あっと驚く大穴を提供することもあるので目が離せない。選手になったきっかけは「自分が毎日楽しくできる仕事がいいな、と探していたら、たまたま(ボート)レースの動画を見た。面白そうかなと」。募集要項をネットで検索して受験したという。自ら道を切り開くように、ボートレースの世界に飛び込んできた。

 趣味は読書。映画化された『桐島、部活やめるってよ』を代表作に持つ作家・朝井リョウの大ファン。「大阪のサイン会に行って、その後に岐阜でのイベントにも行きました」と“追っかけ”をするほどの熱心さだ。

 本の世界に触れることで、人間観が変わったという。「以前は嫌なことをされたら“ムカつく”で終わっていたが、“(相手は)こういう感情でやったのかな”と考えられるようになった。するとイラつかなくなり、その人に対しても嫌な感情を抱かなくなった。メンタルが健全になりました」。

 今後、ボートレーサーとして、どのような指針を打ち出すか。「目の前の一走で結果を残せるようになりたい。レディースチャンピオンで優勝したい、とか目標があった方がいいのかな、とも思うが、今の自分には遠すぎる。途中のステップがあった方がいいのかな。積み重ねで、目先のレースを頑張ります」。個性派レーサーは冷静に自分を見つめ、トップへの階段を一つ一つ踏みしめながら上がっていく。

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