ラストレース田重田厩務員キズナ産駒リメンバーで飾る

 11年宝塚記念を制したアーネストリーや13年ダービー馬のキズナなどを手掛けた田重田静男厩務員(65)=栗東・佐々木=が、31日に定年を迎える。「短かったよ。やり残したというか、馬に申し訳なかったな、と思うことがいっぱいある」と、約47年の厩務員生活を振り返った。

 未勝利馬だろうとG1馬だろうと、同じ思いで貫いてきたことがある。「無事に競馬へ出してあげる。それが一番。レースは何があるか分からないし、走る、走らないは結果の話。(着順の)上だけを目指すのが競馬じゃない」と思いを語る。

 中学を卒業後、両親の反対を押し切って、この世界に飛び込んだ。「仕事を続けるうちに、親も認めてくれたし、喜んでくれることもあった。好きな仕事をして、楽しかった」と優しい表情でうなずいた。

 最後に勤めた佐々木厩舎では2頭のG1馬に巡り会った。「先生には感謝している。G1を2つも勝たせてもらって、自分が担当した馬の子で終えられるんだから…」。現在の担当馬はキズナ産駒の2頭。リトルクレバーは先週7着に敗れたが、リメンバーメモリーが日曜中京9Rにスタンバイする。「前走よりも状態はいいよ」。満足いく仕上げで挑むラストレース。腕利き厩務員にとって、忘れられない思い出になりそうだ。(デイリースポーツ・井上達也)

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