【京都金杯】エアスピネル初笑 年男・武豊の手綱さばき光った

 「京都金杯・G3」(5日、京都)

 “年男”が17年のオープニングを飾った。単勝1番人気のエアスピネルが、中団から鮮やかに抜け出してV。15年デイリー杯2歳S以来となる、二つ目の重賞タイトルを手にした。武豊騎手はデビュー年となる87年から31年連続JRA重賞レース勝利を達成。自身の持つJRA記録を更新した。2着に6番人気のブラックスピネル、3着には5番人気のフィエロ。なお、東西の金杯は前年を大幅に上回る売り上げとなり、JRAは年始の開催で好スタートを切った。

 寒風吹きすさぶ淀のターフで、見事に主役を演じ切った。昨年のクラシックで脇役に甘んじたエアスピネルが、17年の開幕戦で久々の美酒。マイルのG3で底力を証明した。

 前半3F33秒9の激流にも、中団に取りついた向正面では頭を上げてファイティングポーズをむき出しに。気性の若さを露呈したが、3角手前で瞬時に外のセーフティーゾーンへ誘導して折り合った名手・武豊の手綱さばきが光った。

 直線半ばで先頭に躍り出ると、渾身(こんしん)の左ステッキ連打に応えて力走。「もっとはじけるかと思ったが、意外ともたついた。でも地力がありますからね」。猛追するブラックスピネルを、G1でもまれた底力で鼻差しのぎ切った。

 「ヒヤヒヤものでした」と汗を拭ったとり年生まれの年男は、この勝利で自らが持つ連続年JRA重賞制覇記録をデビュー年から“31”に更新。「しないとまたその話になる」と、年始の達成に笑みを浮かべながらも「前回(の年男)もそうだった(05年ハットトリック)みたいだね。たまたま。でもこの馬で勝てたのはうれしい」と感慨深げだ。

 牡馬クラシックで4、4、3着と奮闘しながらも、昨年5戦して未勝利に終わったパートナーに「今年、この馬に懸けているものは大きい。いいスタートが切れたし、この後も楽しみ」と、ともに戦う17年の飛躍を誓った。

 笹田師は「マイルは力を発揮しやすいと思う。やっと勝たせてやれた」と安どの表情。次戦の明言を避けたが、この勝利がG1再挑戦への足掛かりとなるのは間違いない。マイル~中距離の適距離を舞台に、最強世代と呼ばれる良血馬の快進撃が始まった。

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