【NHKマイルC】エンブレム完璧V

 「NHKマイルC・G1」(8日、東京)

 1番人気のメジャーエンブレムが、鮮やかな逃走劇で昨年暮れの阪神JFに続くビッグタイトルをゲット。1番人気で4着に敗れた桜花賞のリベンジを果たした。牝馬の勝利は07年ピンクカメオ以来9年ぶり4頭目。2着には後方から追い込んだ2番人気のロードクエスト、3着には12番人気のレインボーラインが入った。

 トップジョッキーとしてのプライドが許さなかった。ルメールが完璧な騎乗でメジャーエンブレムを3歳マイル王へと導いた。

 桜花賞では消極的な騎乗で1番人気を裏切った。「きょうは何としてもハナを取りたかった」。迷いはなかった。レース前、はっきりと陣営に伝えていた。好スタートを切ると果敢に先手を奪った。すぐにマイペースに落とすと、17頭のライバルたちを引き連れて直線へ。手綱を持ったままで坂を上がってくる。ラスト200メートル手前で右ステッキを入れパートナーを鼓舞した。

 「自分のペースで行ければ簡単には脚は上がらない」。相棒の力を信じ切る鞍上がこん身の力でラストスパート。「(後続の)足音が聞こえてきた時は少し気になった。必死で追いました」。ロードクエストの猛追を封じ込め、真っ先にゴールを駆け抜けた。

 田村師はホッとした表情を浮かべた。「本当に強い馬だと思っていたから(桜花賞へは)自信を持って送り出した。それが“負けちゃうんだ”って…。この中間は穏やかではなかったよ。きょうはアグレッシブな競馬をしてくれたね」と振り返る。成長を促す意味から、ゆったりとしたローテーションを組んできたが、今回は中3週で参戦。「負けられない一戦。意識的に体を絞ろうとやってきた。これ以上、そぎ落とすところのないぐらい、まさに究極の仕上げ。かわいそうだったが、よく耐えてくれた」と愛馬の頑張りに感謝する。

 今後はしばしの休息に入る。「距離はもう少しあってもいいけど、ベストはマイル。またG1を勝ちたい」とルメールが言えば、指揮官は「3歳牝馬で常識的には秋華賞だろうけど、まだ考えられない。オーナーと相談してから」と次走について明言を避けた。それでも「もっと強くなる馬だよ」と両者の思いはひとつ。名牝への道へ一直線-。秋には一段とたくましくなった姿を見せてくれることだろう。

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