【凱旋門賞】豊騎乗でキズナ究極仕上げ

 「凱旋門賞・仏G1」(6日、ロンシャン)

 手加減することなく、攻め切った。同年の日本ダービー馬として初めて挑戦するキズナが2日、武豊を背にシャンティイのエーグル調教場、直線芝コースで最終追い切りを行った。帯同馬のステラウインドを3馬身追走して、最後は逆に3馬身突き放してフィニッシュ。力強い走りで最終調整を終えた。佐々木師、武豊はともに順調ぶりに胸を張る。世界チャンピオンの座を狙える100%の仕上げが完了した。

 フランスでも厩舎のスタイルを貫いた。キズナはシャンティイのエーグル調教場で武豊を背に6Fの追い切り。豪快に先着を決め、究極仕上げを全世界に向けて発信した。

 最終デモの場は起伏のある芝の直線コース。藤岡佑が騎乗する帯同馬ステラウインド(牡4歳、美浦・尾関)を3馬身追走する形でスタートした。上りを駆け上がり、ちょうど下りへと入る残り1Fでスッと並びかける。そこからが圧巻だった。左ステッキが入ると瞬時に突き放す。後肢から繰り出すパワフルな走法で芝の塊を高く蹴り上げ、弾むようなフットワークで緑のじゅうたんを駆け抜けた。最後まで一杯に追われて3馬身の先着。完璧と言えるリハを終えた。

 攻めに攻めた。ダービー出走時がそうだったように、獲ると決めたレースはビシッと仕上げるのが佐々木流だ。「手加減しなければならないようなら、そこまでの馬。てっぺんは獲れない」というのが調教に対するトレーナーの理念。調教場が違っても、世界が相手でも、頂点をにらみその信念を曲げなかった。

 武豊の満足げな表情が全てを物語る。「リラックスしていたし、前走よりも良かった。1回使って状態は確実にアップしている」と力強くうなずいた。全てが手探りだった前哨戦のニエル賞Vで地元の評価も急上昇。「ダービー以来のレース。どういう競馬をするだろうと興味深く乗ったけど、結果を見ても分かるようにいい走りをしてくれた」と胸を張った。

 もちろん、本番はさらなる強豪がそろう。「世界最強メンバーといってもいい。前回とはメンバーが違うので厳しい戦いになると思うけど、状態もいいし、彼も日本のダービー馬ですから」とプライドものぞかせた。

 武豊の凱旋門賞騎乗は今回で6度目。日本中が勝利を期待した06年ディープインパクト(3位入線→失格)で敗れるなど、悔しい思いを重ねてきた。「とても大きな目標。いつか勝ちたいと常に思っていた。いつかディープの産駒でここへと思っていたので、それが実現してすごくうれしい。このチャンスをものにしたい」と思いを込めた。

 日本人ジョッキー初の快挙を成し遂げれば、自身のG1通算勝利数も100勝に到達する。「勝つレースをしたい」。究極の仕上げが施されたパートナーとともに、世界チャンピオンの座を獲りに行く。

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