凱旋門賞へ…池江師インタビュー

 「凱旋門賞・仏G1」(6日、ロンシャン)

 忘れ物を取りに来た。2年連続で欧州最高峰の舞台に挑むオルフェーヴル(牡5歳、栗東・池江)。初挑戦だった昨年はゴール前でかわされて惜しくも2着に敗れた。今年は圧倒的な強さで前哨戦のフォワ賞連覇を達成。悲願のVへ向けて池江泰寿調教師(44)=栗東=に胸中を語ってもらった。

 ‐昨年の凱旋門賞は悔しい2着でした。

 「実は馬場から戻ってきたスミヨンに『スタミナ切れではなかった』と聞いてショックを受けたんです。ゴール板を過ぎて、勝ったペリエのソレミアに祝福のハイタッチをしようと寄っていったら、再び加速していったそうです。勝てるところまで行った。力では負けていないと思います」

 ‐するとリベンジのテーマは気性面。

 「昨年は甘えるようなところがあって、他馬を待つようなところがありました。昨年は同行馬のアヴェンティーノの後ろにいて初めて落ち着くような感じでしたが、今年は精神的に成長しています」

 ‐完勝にも見えた前哨戦のフォワ賞。進境は見えましたか。

 「欲を言えばいろいろありますが、ひとまず合格点。これまでで一番完成度の高いレースができたと思います。テーマは『抜けること』でした。抜け出してからどう走るか。いろんなメディアにゴール前の写真が載っていると思いますが、耳を見て下さい。ピンと立って前を向いています。耳が前を向いているのだから、気持ちが前向きで不安感がない」

 ‐昨年はフォワ賞でも凱旋門賞でもゴール前は耳を絞っていました。

 「ゴール前でたたき合って併せているようなケースでは、耳を絞って踏ん張ることもありますが、抜け出してから耳を絞ったのは不安の表れです。昨年のフォワ賞では内ラチを頼っていたのかと思っていましたが、馬群から離れて不安になっていたんですね。実は、今春の大阪杯でも早めに先頭に立って突き抜けてからどうか見たかったんですが、結果的にはそうなりませんでした。今年のフォワ賞で1頭になってから耳を絞らなかったのは収穫です」

 ‐道中も折り合って見えました。

 「頭が上がりませんでしたね。昨年は頭を上げてハミが上あごにかかる『上ッパミ』と言われる状態で走っていました。今回は首が下がってハミが下あごにかかっていました。きちんとコントロールが利く状態でした」

 ‐気性面の課題はクリア。体調面では。

 「昨年はフォワ賞を使ってから急に良くなりました。手探りのなか、結果的に凱旋門賞でマックスに持って行けたという形。難しかった。今年は昨年をベースに、前哨戦の段階からも凱旋門賞を目標に逆算して、いいところに持って行けています。昨年の経験が生きています」

 ‐アクシデントがいくつかありましたが。

 「宝塚記念を回避することになった(運動誘発性)肺出血は非常に軽度なもの。回避は大事を取ってのものです。競走したサラブレッドの7割以上が程度の差はあれ、いくらか肺から出血しているという研究もあるといいます。フォワ賞の1週前もアクシデント(※帯同馬のブラニーストーンの後脚が鼻すじに当たり外傷性の鼻出血を発症。追い切りをスライド)はありましたが、調整そのものは計画通りにできていました。フォワ賞のレース後もコズミもイライラもありませんでした。息も乱れていなくて、そこまで2本の追い切りの方がしんどいくらい。前哨戦のレース内容もそうですが、状態も昨年よりいいです」

 ‐いよいよ決戦まで1週間を切りました。

 「至って平常心です。でもみなさんから『プレッシャーはないですか?』と聞かれるたびに、少し緊張してしまいます。みなさんも平常心で見守ってください」

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