ジェンティル年度代表馬 初の3歳牝馬
また新たな栄誉を手にした。「2012年度JRA賞」の受賞馬選考委員会が8日、東京都港区のJRA六本木事務所で行われ、年度代表馬に史上4頭目の牝馬3冠とジャパンCを制したジェンティルドンナ(牝4歳、栗東・石坂)が選出された。3歳牝馬の受賞は史上初。ドバイシーマクラシック(3月30日・UAEメイダン、芝2410メートル)での始動が決まり、秋の凱旋門賞(10月6日・ロンシャン、芝2400メートル)挑戦も表明した現役最強牝馬は、新たな勲章を追い風に世界制覇へと乗り出す。なお授賞式は28日に都内のホテルで行われる。
牝馬3冠と、史上初となる3歳牝馬によるジャパンC制覇を成し遂げた4冠馬のジェンティルドンナが、日本競馬にまた新たな歴史を刻んだ。289票中256票と全体の9割近い支持を集め(最優秀3歳牝馬は満票)、年度代表馬の座を獲得。牝馬としては史上5頭目、3歳牝馬による受賞は史上初の快挙となった。
「すごい馬をやらせてもらっているなとあらためて思う」と感激の表情を浮かべた石坂師。「印象に残っているのはジャパンC。手前みそになるかもしれないが、最近10年で一番すごい競馬を見せてくれ、しかも勝ってくれた。ファンにも感動したと言ってもらえたし、本当に立派な年度代表馬だと思います」と愛馬を称賛した。主戦の岩田も「この馬のおかげもあり、自分自身も素晴らしい一年になりました」と感謝を口にする。
12年の日本競馬界をリードした。1冠目の桜花賞でG1初制覇を飾ると、オークスでは5馬身差の圧勝。3冠最終戦では、単勝1・3倍の圧倒的な人気を集めた。「秋華賞は絶対に勝たないといけないレースだった。その分、しんどかったですね」と指揮官は振り返るが、見事にその重圧もはねのけて史上4頭目の牝馬3冠を達成した。
古馬と初対決となったジャパンCでは、直線で5冠馬オルフェーヴルとの激しいデッドヒートを制し、見事に4冠目をもぎ取った。「一戦ごとに精神的にも成長し、脚力も走る力もついて、安心して見ていられるようになった」。3歳牝馬として初めてつかんだ栄光に「この馬はすべてのジンクスを打ち破ってくれた」と目を細める。
13年の始動戦はドバイシーマクラシックに決定した。放牧に出ている滋賀県のノーザンファームしがらきから2月前半にも栗東へ帰厩を予定。岩田とのコンビでいよいよ戦いの舞台を海外へと移す。師が「日本を代表して行くことになるし、いい競馬をして勝ちたい」と力を込めれば、主戦も「今年はこの馬と一緒に世界に羽ばたきたい」と言い切る。すでに秋の凱旋門賞挑戦も表明。日本競馬史に名を刻んだ現役最強牝馬が、今度は世界にその名をとどろかす。
