これがうちの子の実力?わが子が中学受験でつまずいた→勉強ができた親はどう向き合えばいい?【専門家が解説】
Aさんの娘は小学5年生で、来年度に中学受験を控えている。そしてAさん自身は中学受験を経験していないものの、勉強が得意だったため、塾に行かずとも地元で最も偏差値の高い高校に合格し、そのまま名門大学に進学した。
Aさんにはこうした成功体験があったからこそ、我が子も努力すれば自分と同じように結果が出せるはずだと思っていた。しかし、娘は1カ月前に塾で実施された模試で偏差値30台を記録。想定外の結果を目にして「これがうちの子の実力なの...? 」とAさんは頭が真っ白になった。
模試の結果を見て不安になったAさんは、打開策を求めて周りの家庭に相談した。Aさんはさまざまな意見を聞くうちに、幼い頃からの親による情報収集や伴走が合否を左右しているのではないかと考え始める。
このように高校・大学受験とは違い、中学受験は本人の頑張りだけではどうにもならない世界なのだろうか。また子どもの偏差値の低さに苦しむ親は現状とどう向き合えば良いのだろうか。中学受験専門講師の田畠靖大さんに話を聞いた。
ー「自分は特別な対策をしなくても勉強ができた」という成功体験を持つ親ほど、我が子の中学受験でつまずきやすい、という傾向は実際に見られるのでしょうか?
実際によく見られる事案で、塾や家庭教師からも同様の声がよく寄せられます。自身が対策なしで結果を出せた親ほど、事前準備の重要性を実感しづらいと考えられます。「自分にできたのだから子どもにもできるはず」という思い込みが、情報収集の遅れにつながるのです。
気づいた時には周囲との差が広がっており、慌てて動き出す家庭も少なくありません。ただ、そこから意識を切り替え、情報収集や伴走に力を入れれば、十分に立て直せます。
ーAさんのように、自身の成功体験と子どもの成績とのギャップに苦しんでいる親は、現状とどう向き合えば良いのでしょうか?
まず、自分の受験経験と我が子の受験は全くの別物と理解することが大切です。中学受験と高校受験の偏差値には、15~20程度のズレがあります。
というのも、中学受験は「全国の小学生のうち、上位20~30%の生徒の中での偏差値」となっているのに対して、高校受験は「同世代の中学生全員の中での偏差値」となっているからです。偏差値50以下を「平均より下」と捉えてしまう親が多いですが、実はそうではないのです。
また、中学生や高校生はある程度自力で勉強ができるようになっていますが、小学生はまだ周囲のサポートなしで勉強することが難しい年齢です。大学受験での成功体験をもとに「受験生としての自覚をもって、もっと必死に勉強しなさい」と注意をしている親でも、自身が小学生のときは勉強のことなど考えずに遊んでばかりいた、というのはよくある話です。
小学生はまだ自力での学習ができないと割り切り、親がフォローするのを前提として考えるのが、家庭内の平和を保つためにも重要です。
ー高校・大学受験では本人の頑張りが、中学受験では親の情報収集力・伴走力が合否を左右するといわれるのはなぜでしょうか?
主な理由は受験する子どもの年齢にあります。小学生は発達段階の途中にあるため、全員が成熟しきった状態の高校受験や大学受験とはまったくの別物だと考える必要があります。
成長が早い子もいれば遅い子もいるため、我が子の成長速度に合った戦略を立ててあげることが重要です。
具体的には、成長の速度(早生まれか、精神年齢が他の子に比べて発達しているか)をよく見極め、大人がどこまでフォローした方がいいのかを判断します。
成長速度が遅いお子さんほど、親や個別指導塾、家庭教師など大人のフォローが必要になると考えてください。
一方で、必ずしも成長速度が遅いから中学受験に不利だ、というわけではありません。早熟の生徒は、早々に反抗期になり親の言うことを聞かなくなりがちです。そうすると、いくら勉強の仕方が間違っていても修正が難しくなってしまうのです。
だからこそ「親が勉強面で介入できる唯一の受験」という中学受験の一面が活きてきます。
本人の自主性だけに任せていたら、高校受験や大学受験では届かなかったであろう学校にも、合格のチャンスが広がるのです。それが中学受験の大きなメリットでもあります。
そのため、成長速度が遅い=悪い、ではなく「大人が介入できる余地が大きい」と考えましょう。
◆田畠靖大(たばた・やすひろ) 中学受験専門プロ講師
中学受験専門のプロ個別指導教室SS-1(エスエスワン)関東副代表・渋谷教室長。国語・算数を担当する中学受験専門のプロ講師。難関中をはじめとする数多くの第一志望合格を実現。中学受験全般に通じ、子どもの特性に合わせた指導法にも明るく、講師研修や外部講演も担当する。
(よろず~ニュース特約ライター・夢書房)
