最近の胃カメラ検査について 医師がバリウムをおすすめしない理由
最近、胃カメラ(上部消化管内視鏡)をしていて感じることは以前のように胃潰瘍、進行胃がんを発見することがないということです。
私が研修医の頃は、食道、胃、十二指腸の健診の多くは、バリウムを飲んで行われていました。現在は、上記の健診でも内視鏡を使用して行う市町村が増えています。
あくまで私見ですが、私の家族にはバリウムを使った健診は受けさせたくなですね。まずは、被曝(ひばく)の問題です。放射線を使用した検査なので、どうしても被曝を避けることが出来ないのです。次に検査の精度です。検査を行う人間によって、精度に違いがでます。特に食道などは、バリウムがすぐに通過してしまうので、早期の食道がんなどは見逃す傾向が多く、逆流性食道炎などはほとんど診断できないのが現状です。
さらに食道裂孔ヘルニアという病気が合併していれば、発泡剤を飲んでも胃が膨らまないので胃の大きな病変でも見逃してしまうことが多いのです。
硬い台の上で、指示通りに動くことは高齢者、お身体の不自由な方には非常に困難です。私も医師になった頃は、よくバリウムの検査をしていました。私の病院では医師が透視室(バリウムで撮影をする部屋)に入り、プロテクターを着用しているとはいえ、ともに被曝しながら検査を遂行していました。今となっては、懐かしい思い出です。
また、残念ながらバリウムで早期胃がんを発見することは非常に困難です。微細な胃炎に関しても同様です。
さらに検査の後の便秘が、問題となることがあります。
検査終了後に下剤を飲みますが、便秘のひどい人はこの下剤で排便が起こらず、大腸に憩室(大腸にある窪みで通常は便などが貯留する小さな空間)などがある場合は、そこにバリウムが貯留して憩室炎を引き起こし、ひどい場合には穴が開いて緊急手術になることがあるのです。ですから、大腸内視鏡検査をして憩室がわかっている人は、バリウムは推奨できません。
食道がん、胃がんなどに対して最も推奨される検査は、鎮静剤を使用した胃カメラです。咽頭反射が強い人は、咽頭麻酔だけの通常の局所の麻酔で検査をすると検査の最初から最後まで嘔吐反射が起こり、胃カメラでも検査が出来ないことがあるからです。定期的な検査で、胃潰瘍、胃がんが激減していることは間違いないと思います。
◆谷光利昭 兵庫県伊丹市・たにみつ内科院長。外科医時代を経て、06年に同医院開院。診察は内科、外科、胃腸科、肛門科など。
