ランドセル問題 調査で判明した意外なこと「置き勉OKでも持ち帰る」現象 識者が分析

 小学生の通学用ランドセルが子どもの身体にとって負担になっていることが懸念されている。この“ランドセルが重い問題”について、メーカーが当事者たちを調査した結果、学校に教材を置いて帰宅する「置き勉」が認められた状況においても、「なんとなく持ち帰る」という傾向も根強くあることが分かった。調査を元に、ランドセル問題の研究者にその理由や対策を聞いた。

 数々の対策商品を開発、発売している「フットマーク」(本社・東京都墨田区)が「2024年度ランドセルの重さに関する意識調査」として、通学にランドセルを使用している小学校1~3年生とその親1200組を対象に、今年3月にインターネットによる調査を実施した。

 ランドセルが重くなる要因の一つとして、「置き勉」が禁止されていることが指摘されてきたが、その「置き勉禁止」も前回(21年)の31.5%から29.6%と減少傾向にある。子どもの身体的負担に配慮して、この「置き勉」を容認する学校も増えてきている。

 ところが、“置き勉OK”にも関わらず、「家庭学習のため」「何となく持って帰ってきている」という回答が62.1%あった。

 子どもの消費ビジネスを主に研究し、小学生のランドセルの重さに関する調査を実施してきた大正大学の白土健教授は、この「家庭学習」について、「復習、予習、宿題、テスト勉強が含まれている」と指摘した上で、「教科書を使っている教科についての代替案は現状では難しいと考えます」と説明。やはり、教科書は下校後も手放せない教材であることを示した。

 一方で、「なんとなく持ち帰る」現象についても解説した。

 白土氏は「教科書や学習用具の忘れ物をしてはいけないという心理が強く、過剰な荷物を入れている傾向がある」と指摘。すべての教科書をランドセルに詰め込んで登下校する小学生もいるという。

 さらに、同氏は「帰宅後、ランドセルをまったく開けないケースもあるようです。時間割を見ての教科書等の選別という“わずらわしさ”の苦痛から逃れるために、ランドセルを開けない、必要科目の選別をしないという心理と推察します」と付け加えた。

 前者の「家庭学習」の場合は、自宅などで教科書を開いて勉強するためだが、後者の「なんとなく…」のケースは教材全てをランドセルに“封印”することで、忘れ物の不安や、翌日の時間割に沿った教科書の選別という“手間”を回避するという心理が働いているという。

 白土氏は、その対応策について「忘れ物をしないために、保護者がまず子どもの荷物の中身を把握してあげることが大事です。また、子どもさんと保護者が一緒に時間割を見て、必要教材を入れる『しつけ』も必要ではないでしょうか」と提言した。

(デイリースポーツ/よろず~ニュース・北村 泰介)

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