「海猿」作者「原作使用料は200万円」と告白「心は壊れました」最後は値上げ交渉「田中さん」芦原さん追悼

 「海猿」「ブラックジャックによろしく」などで知られる漫画家・佐藤秀峰氏が2日、自身の「note」で作品の実写化についての思いを明かした。佐藤氏は「死ぬほど嫌でした」と題して長文を投稿。冒頭で「日本テレビ系ドラマ『セクシー田中さん』の原作者で漫画家の芦原妃名子さんが亡くなられました。とても悲しいです。」と追悼した。

 「海猿」は劇場版が4作品、さらにテレビドラマシリーズも制作され、高い人気を誇った。しかし、佐藤氏は2012年、フジテレビの報道スタッフが事務所にアポなし取材に訪れたことや、同局が佐藤氏に無断で「海猿」関連本の出版を許諾したことなどがきっかけで、同局に絶縁宣言していた。

 佐藤氏は「海猿」の映画化について「口を挟める余地」がないまま決まってしまったとし、「原作使用料は確か200万円弱でした。」と明かした。「映像関係者には一人も会いませんでした。脚本?見たことがありませんでした。」とほぼ蚊帳の外だった状況を説明。「作品が自分の手から奪われていく感覚がありました。『漫画と映像は全くの別物である』と考えました。そうしないと心が壊れてしまいます。」と自らに言い聞かせたと振り返った。

 映画は2作目の「LIMIT OF LOVE 海猿」(06年)が興行収入71億円、3作目「THE LAST MESSAGE 海猿」(10年)は同80億円、4作目「BRAVE HEARTS 海猿」(12年)が同73億円と大ヒットしたこともあり、佐藤氏は水を差さないよう、口をつぐむ形になった。「出版社とテレビ局は『映像化で一儲けしたい』という点で利害が一致していました。」と厳しく指摘。「漫画家の中には出版社を通じて映像化に注文を付ける人もいますが、出版社がそれをテレビ局に伝えるかどうかは別問題です。」と作者の言葉の伝達にも疑問点があるとした。

 さらに映画の第2弾が公開されたころに「海猿」の原作者を名乗る人物が現れ「脚本を書く」と宣言。佐藤氏は「すっかり嫌になってしまい」その後の映像化を拒否したという。

 数年後に「テレビ局のプロデューサーに初めて会い」再度の映像化を依頼された。佐藤氏はドライに数十倍とみられる著作権使用料で交渉。「お金で解決するのが僕の良いところ。だけど、心は壊れました」と疲弊し切った状況を振り返った。

 最後は芦原さんについて「『繊細な人だったんだろうな』という感想をいくつか見かけました。多分、普通の人だったんじゃないかと想像します。普通の人が傷つくように傷つき、悩んだのだと思います。」とコメント。芦原さんが特殊なケースだったわけではなことを示した。

(よろず~ニュース編集部)

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