コロナ禍で需要増加の「オンライン寄せ書き」サービス 別れだけでなく「推し活」の用途も

 人と会わずに作成できる「オンライン寄せ書き」の需要がコロナ禍で増えている。日本初のオンライン寄せ書きサービス「yosetti」ではコロナ前に比べて、利用者は約4倍以上となっている。寄せ書きというと退職、卒業の際、相手に感謝を伝えることが一般的だが、近年ではVTuberやアイドルにメッセージを届ける「推し活動」の用途も増えてきたという。

 まず、発案者である”幹事”が「yosetti」で色紙のデザインを選び、寄せ書きを新規作成する。その後、ツイッターで企画趣旨を投稿し拡散。興味を持った人はツイートに記載されている招待URLから専用のページに飛び、メッセージを送るだけで気軽に参加できる。幹事は色紙に反映されたメッセージをチェックし、荒らしや誤字脱字がないかを確認。締め切り後、発送手続きを行い、相手方の運営宛てにWeb版寄せ書きURLと色紙発送の連絡をして作業は完了する。完成した色紙には「推し」を中心に愛があふれるメッセージが集まった。SNSを生かした「オンライン寄せ書き」ならではの試みだ。

 寄せ書きを受け取った側が色紙に追加でメッセージを加えることもできる。同社の代表取締役・岡田昇三氏は「本人が寄せ書きに降臨するんです。そこでまた一層盛り上がります。配信とかでも取りあげられて、参加した人たちにとってはたまらなかったみたいです」と笑顔で話した。依頼者が多いため、岡田氏は企画考案者にインタビューを実施。サプライズで寄せ書きを届けるため、企画ツイートを見られないよう対象の公式ツイッターをブロックするなど「推し活」のノウハウ・裏側があった。

 同社でのサービス利用者は2019年に6万人、20年に15万人、21年は27万人と右肩上がりで増加している。繁忙期は3月で平常月の3倍程だという。色紙のデザインは現在215種類以上で、ポケットモンスターやディズニーなどの人気キャラクターとのコラボデザインも用意されている。色紙1枚に記載できるメッセージの平均人数は20人で、上限は300人。基本料金は無料で、完成した寄せ書きをPDFで届ける場合は550円~、色紙にプリントして届ける場合は2948円~となっている。色紙にプリントして届けるサービスが最も人気だといい「寄せ書きを直接辞められる方に贈ることができるので、退職セレモニーをリモートで行って『色紙を送ったので見てください』といった使われ方が多いですね」と説明した。

 岡田氏は2006年に楽天を退職後、フリーランス活動でのデザイナーを経て、12年から「yosetti」の運営を始めた。当時はスマホが普及し始め、ソーシャルメディアの利用が容易に。対面で行わなければいけなかったものが、スマホを利用することで改善できる例を模索し同アイデアを考案した。大きな広告を出すことはなかったが、口コミでサービスの認知が広がった。「初めて利用した方が、次は幹事になって再度利用していただけるんです。ユーザーがユーザーを紹介する形でどんどん広がっていきました」と振り返った。

 「yosetti」は今年で10年目の節目を迎えた。今後も顧客の要望に応えたいと意欲を見せる。花や菓子などを色紙と一緒に付けられるようにするサービスも検討中だという。岡田氏は「幹事さんの負担を減らすような機能を付けていきたいなと思います」と語った。

(よろず~ニュース・松田 和城)

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