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「銭形平次」から「ラブライブ!」まで 時代を超えて“聖地”であり続ける神田明神

 2013年に放送が開始されたテレビアニメ「ラブライブ!」の作中に登場することから、同作のファンから“聖地”として親しまれている神田明神。モデルとなった場所を一目見ようと、今も多くのファンが訪れている。こうした“文化との共存”は以前からあり、かつては「銭形平次」の舞台として大きく盛り上がりを見せていたという。時代の経過と共に新しい姿を見せる神田明神について、禰宜の岸川雅範氏に話を聞いた。

 神社の境内に入り、右を向くと銭形平次の顔出しパネルが目に入る。江戸時代を通じ広く流通し、銭形平次が投げる銭としても有名な寛永通宝も描かれている。ただ、そこで足を止める参拝客はなかなか見受けられなかった。國學院大學の博士課程を卒業している(神道学)岸川氏は「昔はけっこう頻繁に『銭形平次の碑はどこですか?』と聞かれましたが、最近では圧倒的に減りました。顔出しパネルも『これなんだろう?』みたいな。数年前の大学生、大学院生も知りませんでした。今の若い人たちも当然知らないでしょうね」と話した。

 野村胡堂氏による小説『銭形平次捕物控』では、主人公・銭形平次が神田明神下の長屋に住居を構え、明神界隈を舞台に活躍する姿が描かれる。架空の人物だが、昭和45年に有志の作家と出版社が発起人となり、寛永通貨を形どって建立された。以後、“聖地”としてドラマや映画を見た多くのファンたちが訪れていたという。「俳優さんが来て“銭形祭り”を開催しました。お客さんに手ぬぐいをあげたりとかしてましたが、『ラブライブ!』よりも多くの方が来ていましたね」と振り返った。

 ラブライブ!以前もサブカルチャーとの関わりがあり、「リカちゃん」、「チョロQ」、「犬夜叉」、「ケロロ軍曹」などとコラボレーションを行ったという。「コラボとか、ドラマのロケ地に使われたり、そういう受け入れは元からしていました。なのでラブライブ!だけが特別ではないという感覚はあります。ただ爆発的に盛り上がったのは確かですね。授与品として絵馬を授与した際、過去に見ないレベルの行列ができたのを覚えています」。

 「ラブライブ!」が特に話題となった要因については、土地柄との親和性を挙げた。「まず秋葉原に近いということ。また、アニメに出てきた“ロケ地”がある。こういうことが要因で皆さん来たがったのでしょう。映画とかドラマとかは1年ぐらいでロケ地めぐりは収まるようですけど、アニメの場合は違いますね。そこは不思議です」と驚きも口にした。

 「ラブライブ!」放送から約8年が経過し、現在の参拝客は“多様化”しているという。「一時期は『ラブライブ!』のファンが本当に多かったです。ただ、今はむしろ、渋谷とか原宿にいそうな女の子たちが、インスタ映えの写真を撮りに来たりします。いわゆるオタクとそうでない人のボーダーラインが無くなってきている。“アニメ”という文化が一般化されて昔ほど抵抗がないようです」と分析した。実際に、昨年公開されたアニメ映画『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』は国内興行収入が史上初めて400億円を突破する大ヒットを記録。世代、性別を問わず多くの客層を獲得したのが、記録更新の1つの要因だった。

 “聖地”としての主たる姿が「銭形平次」から「ラブライブ!」へと移り変わった例は、時代の変化を表している。今後、「ラブライブ!」も同様の流れを辿る可能性があると指摘する。「歴史をさかのぼると神社には、お参りの他に人々が楽しむ、“盛り場”的な部分がありました。江戸時代の浮世絵と同じく、『ラブライブ!』と神田明神のコラボのポスターは100年たてば、歴史的な資料となります。ただし、誰かが掘り起こさなければ、忘れられてしまいます。そうして評価されることで、歴史として残されていくのです」と語った。

 2年半前には、最大キャパ700人の多目的イベント会場・神田明神ホールが完成し、様々なサブカルチャーのイベントが開催された。伝統の継承に限らず、多様な文化や価値観を受け入れ、新しい文化を創出している神田明神。今後もつながりのあるものとコラボを続ける予定だという。10年後には一体どんな姿になっているのだろうか。

(よろず~ニュース・松田 和城)

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