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異色の女子アイスホッケーアニメに勝算あり コラボにライブにYouTubeで“金の卵”新人声優が大奮闘

 マイナースポーツ、舞台は魅力度ランキング最下位の県、完全オリジナルストーリー、メーンキャストは新人声優だらけ。一見するとマイナス要素に満ちた状況を、プラスに捉えた新作アニメが、今秋の放送開始に向け奔走を続けている。『プラオレ​!~PRIDE OF ORANGE~』は栃木県日光市を舞台に、史上初めて女子アイスホッケーを題材にした物語。スマホゲーム、声優のライブ活動などのメディアミックスが予定されている。製作総指揮・エグゼクティブプロデューサーの落合雅也氏は「ビジネス抜きにアイスホッケーが盛り上がってほしいというのが一番強い」と思い入れを吐露した上で「マーケティング的にも強みはあります」と続けた。私情と計算。相反するものをいかに両立させるのだろうか。

 サイバーエージェント本体でアニメ、ゲームに関わり、関連会社の代表も務める落合氏は、青春をアイスホッケーにささげた。約25年前には早稲田大学で日本屈指の強豪体育会に所属。しかし試合メンバーには届かず、子どものころ思い描いた実業団入りは夢で終わった。「正直、イマイチな選手でした。社会に出てから、見返したいという反骨心が常にありました」。音楽業界を手始めにメディアの世界で着々と実績を重ねる一方で、愛好者との草ホッケーを続けつつ「僕が小学校の時にはサッカーにも見劣りしなかった。国際大会も度々日本で開催されていたのに」と、競技のマイナー化に心を痛めた。初めて自身が全権を担うコンテンツは、愛するアイスホッケーで勝負をかけることを決めた。

 ビジネス的な勝算はある。大学の先輩や後輩が、重役や現役選手に名を連ねる国内トップリーグの日光アイスバックスから全面協力を得た。「栃木県は北海道に対抗できる本州随一のホッケーどころで、アイスバックスは地元にとても愛されていることを昔から知っていました。知り合いが多いので意思疎通も図りやすかった」。昨年12月の制作発表会見でのPVには今年4月に死去した大嶋一生前日光市長が出演。既に日光アイスバックスからはレプリカユニホームや特製パックなどのコラボグッズが販売されている。日光市を中心に栃木県の特産品や観光、交通機関とのコラボ企画が着々と進んでいる。「日光をアニメの聖地として盛り上げたい」と鼻息は荒い。

 このような理想的な関係はマイナー競技ならではだ。「例えばプロ野球チームを題材にした場合、有名選手や地元の自治体、各企業からこれほど協力してもらえるでしょうか」。確かに2004年にアイスホッケーを題材に木村拓哉が主演したフジテレビ系連続ドラマ『プライド』では現役の日本代表選手が多数エキストラ出演し話題になった。22年北京冬季五輪で躍進が期待される、女子日本代表とのコラボも夢ではなさそうだ。

 原作ファンの呼び込みが見込めないオリジナルストーリーの弱みはYouTubeの積極展開で打開する。主人公・水沢愛佳役が声優デビューとなる増田里紅をはじめ、メーンキャラクターには新人声優を起用。昨年12月にYouTubeチャンネルを開設しトーク、バラエティ、歌にダンスと既に65本以上の動画を配信。日光市での食べ歩きや、アイスバックスが活動する霧降アリーナでの収録も行われた。「新人ならではの頑張りは動画からより伝わりやすく、その分コアなファンを深く掘り下げられます。主人公のチームメンバーの声優ユニットで来年にはライブを行いたい」と意気込んだ。試合に勝つとビクトリーダンスを踊るという設定をつくり、ライブ活動との整合性を持たせた。

 アニメ制作は定評があるC2Cに託した。今年3月には試合シーンの一部をYouTubeで配信。「ヘルメットをしていても愛佳が可愛く、ホッケーの動きも素晴らしかった。作画に関しては不安がありません。壮大な夢を掲げるのではなく、第2期、第3期と着実にアニメが続けられるよう投資と回収に気をつけながら、コアなファンを大切にホッケーや日光を盛り上げたい」と言葉に力を込めた。アニメは今年10月からとちぎテレビ、ABEMA他で放送予定。ゲームは放送開始後、年内をメドにリリースされる。アニメ、ゲーム、聖地化、ライブと相乗効果を生み出しながら足跡を残すつもりだ。フェイスオフが待ち遠しい。

(よろず~ニュース・山本 鋼平)

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