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【大橋未歩アナ】現役引退パラ競泳・池選手の勇気ある告白

 「大橋未歩のたまたまオリパラ!」

 パラ競泳で活躍してきた池愛里(いけ・あいり)選手が現役引退を表明した。2016年のリオ・パラリンピックでは7種目に出場し、400メートルリレーで6位に入賞。178センチの長身から放たれる雰囲気には人を振り向かせるようなオーラがあり、水泳界のホープとして東京パラリンピックでの活躍が期待されていた。

 が、池選手は7月26日に引退を表明。

 池選手は去年の夏、うつ病を発症していた。「どんなに楽しいことや嬉しいことがあっても死にたいという気持ちが一瞬たりとも頭から離れることがありませんでした」とTwitterに綴っている。そしてその原因を自身で分析し「もう本当に限界だったのにもっとできる、そして、できないのは私がダメで弱いからだと責めていました」。さらに「もっと早く逃げていればと後悔しています」。

 重い言葉だ。

 私は五輪を3大会取材してきたが、高みを目指し続ける選手の重圧を肌で感じることがあった。五輪連覇という偉業を成し遂げた、柔道女子63キロ級の谷本歩実選手。アテネ五輪でオール一本勝ちでの金メダルというこれ以上ない栄光は、重い十字架となって谷本選手にのしかかった。「目標を失ってしまったんです。金メダルをとった後しばらく柔道着も着られなくて」

 4年後の北京五輪でも当たり前のように金メダルと一本勝ちを期待される日々は、金メダルを目指した道のりよりずっとつらかったという。さらに練習で腰を痛め、無理を押して出た試合でライバルに完敗、ついに歩けない状態まで腰の故障を悪化させた。

 「この時期が一番つらかったです。もううつみたいになっちゃって。絶望で毎日泣いて、部屋からも出られなかった」と振り返った。

 五輪で金メダルを獲っていてもなお、苦しむのだ。向上心がある限り、苦しさは伴走してくるし、心のバランスを保つことは容易ではない。

 だからこそ、池選手が生きて、勇気ある告白をしたことに拍手を送りたい。金メダリストとは違う形で、池選手もまたきっと誰かの人生を救ったと信じている。

 ◆大橋未歩(おおはし・みほ)1978年8月15日、神戸市出身。フリーアナウンサー。2002年入社のテレビ東京時代にアテネ、北京、ロンドン五輪を取材。18年にパラ卓球アンバサダー就任。19年から「東京2020パラリンピックの成功とバリアフリー推進に向けた懇談会」メンバー、パラ応援大使でも活躍。

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