世界的映画監督、元恋人ダイアン・キートンさんを追悼「今後も現れないような存在だった」
映画監督ウディ・アレン(89)が、長年の友人であり元恋人でもある女優ダイアン・キートンさんへの追悼文をザ・フリー・プレスに寄稿した。1970年代初頭に交際し、「アニー・ホール」を含む8本の映画を共に製作した2人。アレンはダイアンさんとの出会いを振り返り、「彼女の顔と笑い声は、彼女が入ってきた空間を照らした。地球上で誰も経験したことのない、そして今後も現れないような存在だった」と語った。
舞台「ボギー!俺も男だ」のオーディションで初めてダイアンさんを見た瞬間、「ハックルベリー・フィンが美しい若い女性だったら、それはキートンだ」と思ったという。リハーサル初週は互いに無口だったが、偶然同じタイミングで休憩を取り、8番街の店で一緒に軽食を取ったことが最初の接点だった。「彼女はあまりに魅力的で、魔法のようで、自分の正気を疑った。こんなに早く恋に落ちることがあるのかと考えた」と綴っている。
アレンはダイアンさんの芸術的な感性を深く信頼しており、「私は映画を彼女一人のために作っていた。批評は一切読まず、彼女の意見だけを気にしていた」と述べた。ダイアンさんが好意的なら成功とみなし、そうでなければ編集し直したという。その才能は演技だけでなく、歌やダンス、執筆、写真、コラージュ、インテリア、映画監督にも及び、「一緒にいると笑いが絶えなかった」と回想。シャイで控えめな性格ながら、審美眼には絶対の自信を持ち、「シェイクスピアの作品でさえ、彼女が違うと思えば容赦なく批判した」と語った。
アレンはダイアンさんが「美しい田舎娘」から「洗練されたファッションアイコン」へと成長した軌跡を讃え、家族との思い出や、同居時に摂食障害に気づけなかったことにも触れた。最後に、ダイアンさんがいない世界は、以前よりも「陰鬱だ」と締めくくった。
