映画「明日に向って撃て！」（１９６９年）や「スティング」（７３年）などの名作、ヒット作で知られるハリウッドのスーパースターで、映画監督としても「普通の人々」（８０年）で米アカデミー賞を受賞したロバート・レッドフォードさんが１６日、米ユタ州の自宅で死去したことが同日、分かった。８９歳。米ニューヨーク・タイムズ紙が伝えた。ニューシネマ時代きっての美男俳優として人気を博し、後進の育成にも力を注いだ。

　レッドフォードさんはカリフォルニア州サンタモニカ出身。ブロードウェイを経て映画界入りし、ナタリー・ウッドと共演した「サンセット物語」（６５年）や「雨のニューオリンズ」（６６年）などで注目を集めた。

　ポール・ニューマン、ジョージ・ロイ・ヒル気監督とトリオを組んで実在したアウトローの挽歌を描いた西部劇「明日に向って撃て！」（６９年）は、アメリカン・ニューシネマを代表する傑作となった。同じトリオで１９３０年代のコン・ゲーム（詐欺）を描いた洒脱なコメディー「スティング」（７３年）はアカデミー作品賞など７部門を獲得した。

　ブロンドの美男子で、「華麗なるギャツビー」（７４年）や「愛と哀しみの果て」（８５年）などのロマンチックな作品から「大統領の陰謀」（７６年）や「ニュースの真相」（２０１５年）などの硬派な作品まで、幅広い役柄を演じ、７０年代のハリウッドを代表するスーパースターとなった。

　１９８０年にはありふれた家族の崩壊を描いた「普通の人々」で監督業に進出し、俳優としては手が届かなかったアカデミー賞を獲得。その後もブラッド・ピットをスターダムに押し上げた「リバー・ランズ・スルー・イット」（９２年）などの監督作品を発表した。

　１９８１年に「サンダンス・インスティチュート」を設立。サンダンス映画祭を開催し、後進の育成やインディペンデント映画の発展に大きな功績を残してきた。

　リベラルとしても知られ、長年にわたって環境活動に注力。クリーンエネルギーを推進し、環境サミットを開催するなど、映画以外の分野でも存在感を発揮していた。