名だたる人々が訪れる音楽酒場 数々の思い出と40周年ライブと…【山本浩之アナコラム】
【ヤマヒロのぴかッと金曜日】
酒を飲み始めたのは大学生の頃だが、若さと勢いにまかせてただ飲んでただけ。本当に旨いと思えるようになったのはいつの頃からか……。その日の仕事に気分を良くして大勢で騒ぐ日もあれば、納得がいかずつい深酒してしまい次の日も使い物にならず、なんてことも。結局は酒に呑まれてばかりいた。
そんな私だが、新人アナウンサーの頃から40年間通い続けている店が一軒だけある。
梅田・阪急東通り商店街の東の端のアーケードを抜けて少し先へ行った雑居ビルの2階に店を構える音楽バー『アフターアワーズ』(以下、アフター)。
移転して14年だが、雰囲気が昔の店と同じようなしっくりした味になってきた。
オープンした場所は西天満の旧関西テレビ社屋のすぐ近くで私の好きな関西フォークやブルースを聴きながらたこ焼きをアテにハイボール、というのがその頃から定番だった。みんなこの店のマスター上野さんと音楽話をしにやって来た。放送局が借りに来るほど貴重な音源もある。懐かしいライブ映像をTV画面に流すと食い入るようにみんな見ている(ただし、再生しかできないので阪神戦は映らない)。
ライブ終わりにミュージシャンが足繁く通ってくる。有山じゅんじさん(有山さんは僕に『京阪沿線で一番うまいたこ焼き屋はどこやと思う?』と聞いてきて京阪の住人でもない私を困らせた)。天才ギタリスト故・石田長生さん(石しゃんさんには『ギター弾くの?ちょっとここで弾いてみて~!!』と無茶振りされた)。憂歌団・木村充揮さん(アフターがビルの地下にあった頃、足を怪我して松葉杖で飲みにきて階段を上手に降りていた。その横にはエレベーターがあったのに)。
音楽関係以外にも、上野さんのファンは多い。野茂英雄さん(ドジャースでバリバリの頃でもオフに帰国すると毎年店にやってきた。ちなみに彼は今も定期的に顔を出す。いつもワインを何本か持ち込んで…。飲み屋に酒を持ち込む人を他に見たことがない)。皆でワイワイ賑やかな夜もあれば、私と上野さん二人だけの日もある。週末フラっと寄ったら『今週はヤマヒロで二人目』って言いながらちょっと寂しそうな顔をする(知らんがな!)。
そんなアフターが今週末40周年ライブを開く。開店5年目に最初のライブをやって以来、5年刻みで開催しているので今年で8回目。懐かしい顔も揃うだろう。私も酔わない程度にちびちび飲りながら上野さんのバックでギターを弾く。あの頃より少しは上達しただろうから、石田さんにも聴いてほしかったなぁ。
あと一人、有山さんと共に初回から参加していた加川良さんの歌をもう聴けないのは辛い(加川さんにも可愛がってもらいました)。辛いけどいいこともあるもので、8回目にして初めて上野さんも私も大好きな金森幸介さん、木村充揮さんも出演する(ゴメンなさい、半ば身内のライブなのでソールドアウトです)。
♬夢は色褪せてく 僕は年老いてく でもまだへこたれちゃいない
夕陽を追いかけてく ヤツの歌が聴こえる もう引き返せない♬ 金森幸介
40年も同じ店で飲み続けている。多少は上手い飲み方も覚えた。いろんな人と巡り合った。これが一番の財産かな。もしよければ、梅田の場末の安酒場に飲みに来ませんか?
◇山本 浩之(やまもと・ひろゆき)1962年3月16日生まれ。大阪府出身。龍谷大学法学部卒業後、関西テレビにアナウンサーとして入社。スポーツ、情報、報道番組など幅広く活躍するが、2013年に退社。その後はフリーとなり、24年4月からMBSラジオで「ヤマヒロのぴかッとモーニング」(月~金曜日・8~10時)などを担当する。趣味は家庭菜園、ギターなど。
