蒔田彩珠「託してくれた思いを大事に」是枝チルドレンが3年ぶりタッグ ベネチア映画祭出品「ルックバック」でW主演
是枝裕和監督の新作映画「ルックバック」(11日公開)が、イタリアで開催中の第83回ベネチア国際映画祭のコンペティション部門を競っている。出口夏希(24)とともにダブル主演の一角を務めたのが、俳優の蒔田彩珠(24)。監督と10年以上前から作品をともにし、プライベートでも交流のある“是枝チルドレン”が、満を持して物語の柱となった。監督から「この作品を一緒にやりたい」と原作本を託されてから5年。成長を見せる場となった今作への思いを聞いた。
原作が発売された直後のタイミングで監督と一緒に書店に行ったという。「たまに食事をしたり、映画を観に行ったりするんですけど、『この役をやってほしいんだよね』と言われて、本屋さんで原作を買っていただきました」。託されたのが、今作で演じた京本役だった。
小学校で同じクラスだった、快活な藤野と引きこもりの京本が漫画を共作する青春劇と、その後の人生を描く「ルックバック」。「チェンソーマン」の漫画家・藤本タツキ氏が原作を手がけ、2024年には劇場版アニメもヒットを記録した。
実際にペンを走らせるシーンも多く、蒔田らは4カ月かけて漫画を特訓。漫画家の先生のもとを訪れ、色の出し方や線の描き方など基礎から学んでいったという。家でも1枚1時間はかかる「課題」に取り組み、「学生時代を思い出しました」と笑う。
是枝監督とは、10歳だった2012年にドラマ「ゴーイング マイ ホーム」で出会った。阿部寛の娘役を演じ、「初めてお芝居をちゃんとやって、お芝居が楽しいと思ったのが監督と一緒にやった、このドラマでした」と、その後の人生を決める作品となった。
以降、映画「海よりもまだ深く」「三度目の殺人」「万引き家族」など是枝作品の常連となり、長い年月をかけて関係性を築いてきた。今作は、23年配信のドラマ「舞妓さんちのまかないさん」以来となるタッグ。「『今さら監督の前でお芝居できるかな?』とちょっと心配になりました」と照れ笑いしつつ「恥ずかしかったけど、やっぱりこの役を託してくれた思いを大事に、責任を持って演じようと思いました」と覚悟を決めた。
俳優人生の大恩人について「演じている人の本性というか、役としてではなく、その人そのものを引き出そうとしてくれる」と説明。是枝流の演出で「三度目の殺人」までは台本を渡されず、その場でセリフを伝えられていたが、「台本をもらっていないので、相手のセリフを聞かないと、自分のセリフは出てこない。ちゃんと相手のセリフを聞くっていうのがそこで身についたなと今でも思います」と原点になっている。
藤野と京本の小学生時代は、新星の七瀬ふうりと岡田六花が演じた。「自分が大人側として監督の作品に出るのは初めてだったので、寂しかったですね。ついに是枝チルドレンの後輩ができたかぁって」。冗談っぽく笑い、時の流れの感慨に浸った。
◆蒔田彩珠(まきた・あじゅ)2002年8月7日生まれ。神奈川県出身。7歳から芸能活動を始め、18年の「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」で映画初主演。多くの是枝作品に出演している。他の出演作にドラマ「おかえりモネ」「御上先生」「リブート」や映画「キングダム 魂の決戦」など。ツーリングが趣味で、愛車はヤマハ・ドラッグスター250。米俳優クロエ・グレース・モレッツが乗っているのを見て、同車に決めたという。
