波乃久里子「遺骨の前で怒ってやった」盟友・水谷八重子さんを悼む「わがままで意地悪で憎らしいやつだった」
俳優・波乃久里子が主演を務める演劇ユニット「新派の子」の朗読会「さろん・ど・まろん~木挽町番外編」(6日まで)が5日、東京・歌舞伎座ホールで開幕。本番前の公開通し稽古後には本紙などの取材に応じ、同じ劇団新派の看板俳優として活躍し、先月28日に肺炎で亡くなった水谷八重子(本名松野好重=まつの・よしえ)さんを悼んだ。
出会って66年。「おねえちゃま」と親しみ、「きょうだい同然」だった水谷さんが亡くなって1週間。波乃は舞台に立った。「今も必ず見てますよ、それで『ダメね久里子は』『私がやりたかった』って言うわよ。ライバルですからね、勝手に思ってんだけど」と天国から見守る盟友の姿を思い浮かべ笑顔を見せた。
稽古中も何度も水谷さんの姿が思い浮かんだという。波乃は「昔、新聞社の方が『久里子と好重は離れたら“ウスバカゲロウ”になる』って言ってた」と回想。「『ウスバカゲロウになるから2人一緒にいようね』っておっしゃってたのに、先に逝っちゃったのよね。遺骨の前で怒ってやった。『ウスバカゲロウになっちゃうじゃない私は!』つって」と寂しさをにじませた。
続けて「わがままで意地悪で憎らしいやつだった」と愛情たっぷりに振り返りながら「言うに言えないかわいい所があった人。やっぱり好きですよ。きょうだいですよね」としみじみ。支えあったおねえちゃまへの変わらぬ思いを口にした。
朗読会はコロナ禍の2020年、劇団の公演が次々中止となる中で、新たな現劇活動を模索して始まった。3度目となった今年は、チケットが発売と同時に即完した。
今回は、自らの当たり役を日本舞踊家・尾上紫(ゆかり)に指導して伝授した「十三夜」と波乃が、「好きでたまらない」という「風流深川唄」の2演目を上演。「風流」では、同じく自身の当たり役でもあるおせつを気迫のこもったセリフで聴かせ、天国の水谷さんへ祈りをささげた。
今後の新派について問われると「私たちはオファーが来ればやるだけ」ときっぱり。「だって新派はマニアックな世界だから」と笑顔で続けた。
