【ヤマヒロのぴかッと金曜日】取り残される人たちを黙って見ていられない!言葉を失った能登の今

 能登半島地震から2年と半年が過ぎた。

 「取り残されていく能登の姿を黙って見ていられない。YouTubeで発信していきませんか?」。映画監督の白羽弥仁さんから連絡をもらったのは、4月上旬のことだった。

 私がこのコラムで能登半島地震とその後の豪雨、二重災害のルポを掲載したのが2024年11月のこと。あれから1年半、その後どうなっているのか気になっていたので、二つ返事で同行することにした。

 実は白羽監督にとって能登は特別な意味を持つ土地なのだ。

 08年に公開された映画『能登の花ヨメ』。企画は04年にスタートしていたが、公開前年の3月25日に発生したM6・9の地震により、脚本を根本的に見直し、震災復興に立ち向かう能登の人々の姿を大幅に取り入れたものとなった。それだけに、24年正月の能登地震は彼にとってもショッキングな出来事だった。

 さらに追い打ちをかけるように同じ年の9月、記録的な豪雨が奥能登を襲う。「これはもう、自分の足で立つことは不可能だ。限界を超えた」との声が監督の元にも寄せられる。

 地震の後、借金してやっと再開した店に濁流が流れ込み、営業を断念した人…。

 補修工事をしたくても地元の工務店は手いっぱいで、金沢の業者に依頼すれば職人の滞在費や運搬費がかさみ、見積もりも取れず途方に暮れる民宿の主人……。

 地盤が隆起し水が通らなくなった田畑を手伝ってくれたボランティアの宿泊所にまで、土砂が押し寄せたという若き農業経営者…。災害のダブルパンチは、自分たちの力で能登を盛り上げようとする若い世代の心をもへし折ってしまったのだ。

 6月初旬、久しぶりに現地を歩いた私は驚きを隠せなかった。1年半前と、どこがどう変わったのか。整備されたのは国道、県道の一部だけ。さすがに倒壊した建物は撤去されていたが、輪島の朝市跡はいまも吹きっ晒しだった。見る限り、公的な部分はゆっくりではあるが進んでいる。だが民間となると手付かず同然。これでは患者をICUのベッドに寝かせたまま、放ったらかしにしているのと同じである。

 石破政権時に打ち出した防災省構想は「防災」という名だが、激甚指定を受けた被害者の権利利益の保全や被災者の生活支援など、発災後の対応も含むものだった。その後、防災庁と規模を縮小したが、今国会に提出されている「防災庁設置法案」が成立すればそれだけでも半歩前進するはずなのだが…。いや、今の政権に『票にならないICUでの治療』を望んでも無駄というものか。

 お上に期待する前に、自分たちに何ができるのか。一人でも多く仲間を増やそう。過疎がすすむ地域で被災し、逆境に生きる人とともに明日のことを考えよう。その取っ掛かりとして、今回取材したものをそれぞれYouTubeにまとめてみた。収益金が出れば、取材でお世話になった方々に送る予定。

 白羽監督のYouTube「能登LIVE」、私の「ヤマヒロちゃんねる」よければぜひご覧ください。

 ◆山本 浩之(やまもと・ひろゆき)1962年3月16日生まれ。大阪府出身。龍谷大学法学部卒業後、関西テレビにアナウンサーとして入社。スポーツ、情報、報道番組など幅広く活躍するが、2013年に退社。その後はフリーとなり、24年4月からMBSラジオで「ヤマヒロのぴかッとモーニング」(月~金曜日・8~10時)などを担当する。趣味は家庭菜園、ギターなど。

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