漫画家・つげ義春さんが死去 88歳 代表作に「ねじ式」「無能の人」 昨年9月から体調不良

 晩年のつげ義春さん
 つげ義春さん(1992年撮影)(C)高野慎三
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 「ねじ式」、「無能の人」などの作品で知られる漫画家のつげ義春(つげ・よしはる、本名柘植義春=つげ・よしはる)さんが、3日に誤嚥性肺炎のため東京都内の病院で死去していたことが27日、分かった。88歳。東京都葛飾区出身。葬儀は9日に親族のみで行った。つげさんの遺族によれば、昨年9月ごろから体調を崩していたという。

 漫画史を革新し、後進に多大な影響を及ぼした巨人が旅立った。

 つげさんは1937年生まれ。小学校卒業後、メッキ工場に勤務し、当時のことは自伝的作品「大場電気鍍金工業所」に描かれた。

 55年に単行本「白面夜叉」で本格的にデビューし、貸本漫画や子供向け雑誌で活躍。65年から「ガロ」で超現実的な「ねじ式」や「ゲンセンカン主人」、叙情的な「紅い花」、ユーモラスな「李さん一家」などの傑作を相次いで発表し、熱狂的なファンを獲得した。当時は池上遼一氏らとともに水木しげるさんのアシスタントも務めた。

 70年代以降も「義男の青春」や「ヨシボーの犯罪」、「無能の人」などの代表作を発表したが、80年代末からは新作の発表が途絶えた。随筆や紀行文の名手としても知られ、「つげ義春とぼく」、「貧困旅行記」などの著作がある。一時は中古カメラ商を営み、その業界では知られていた。

 石井輝男監督の「ねじ式」、「ゲンセンカン主人」、竹中直人監督の「無能の人」など映画化作品も多く、昨年は三宅唱監督が「海辺の叙景」と「ほんやら洞のべんさん」を原作に「旅と日々」として映画化した。

 近年は内外での顕彰が続き、2020年に仏アングレーム国際漫画祭で特別栄誉賞を受賞。22年に日本芸術院会員に選出され、24年に旭日中綬章を受章した。

 私生活では状況劇場の俳優だった藤原マキさんと結婚し、一人息子の正助さんをもうけたが、99年に死別した。

 正助さんはコメントで「公の場に出ることを好まず、静かに暮らしていた父ではありましたが、家では毎日家族と食卓を囲む、家族想いの人でもありました」と父をしのび、「シュールな作品からリアリズム作品、夢や旅を題材にしたものまで、幅広いジャンルを描き分けることのできる、稀有な漫画家であった」と功績を説明。「これからも父の作品を読み続けていただけましたら、父にとりましてこの上ない供養となるものと存じます」と願っている。

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