【ヤマヒロのぴかッと金曜日】手探りの家庭菜園 明るく楽しく、失敗して、失敗して、失敗してまいります!
若い頃から野菜作りをしている先輩のIさんから『黒にんじん』のタネが送られてきた。
タネ袋の写真を見ると形こそ普通の人参と変わりないが、目にしたことのない珍しい黒紫色で、切り口の芯の部分に白の輪模様が見られる。
正直、あまり食欲の湧かない色だが、これがなんとビタミンCがオレンジ人参の約5倍、ポリフェノールがブルーベリーの倍以上と栄養価が高く、多くの健康効果が期待されているそうだ。糖度は13度と大変甘く、主に沖縄などで栽培されているらしい。「気温も20度近くになってきたのでそろそろ撒き時かと思います」のメモが添えられていた。
家庭菜園のマネごとを始めて今年で5年目になるが、まだまだ知らないことだらけで失敗の連続である。
先日も、せっかく青々とした芽を出したジャガイモを霜でダメにしてしまった。早く植えすぎたのだ。タマネギは順調だが、大根はさほど大きくならなかった。苗ポットでタネから育てているレタスの芽も一向に大きく広がってくれない。一般的な野菜でさえこんな調子だから、珍しいタネの栽培など上手くできるかどうか…。
「なんべんでも失敗したらええねん。だんだん覚える!」と畑の先輩たちは言うが、ほとんどの野菜は1年に一回しかチャンスがない。スイカ作り歴10年の人でもわずか10回の経験だけ。自分の年齢を考えるとそういつまでも失敗ばかりしていられないのだ。
『苗半作(なえはんさく)』という言葉がある。「丈夫な苗を作れば、よい作物が半分できたと同じ」という意味で、それだけ『育苗』は大変だということだ。土づくりがきちんとできなかった、あるいは撒いたタネが発芽するまでの工程に失敗した…誰もが一度は経験することだ。専門店でしっかりした苗を買ってくれば比較的簡単に育ち、花が咲き実がつくのだが、やっぱりタネから栽培したい。
かつてロシアで『ダーチャ』と呼ばれる菜園付き郊外住宅が普及し、第二次大戦後の食糧不足を自給野菜で補ったという話を以前紹介したが、やるからには私も全ての作業をマスターし“野菜の個人自給率”を少しでも上げたいと考えている。
昨年、67歳で亡くなった経済アナリストの森永卓郎さんも、コロナ期、野菜づくりに挑戦した。著書『森永卓郎のマイクロ農業のすすめ』では、新しいライフスタイルとして“トカイナカ”(都会と田舎の中間)に暮らし「自産自消」を提唱していた。まず、楽しみとして農業にかかわり、近隣の人同士で生活に必要なものを分かち合う。先の見えないリスク社会において、人間の本質的な生き方を見つめ直し、実践してみせた。
森永さんが耕していた農園の面積が30坪。偶然にも今、私がお借りしている農地と同じ広さだ。慣れない畑仕事でしょっちゅう壁にぶつかっただろうことは容易に想像できるが、笑顔で充実した晩年を過ごされた、に違いない。
幸いにも、私はまだ十分身体を動かすことができる。いただいた「黒にんじん」に加え、今年はトマトソース用の「調理トマト」を少し多めに植えようと計画しているが、果たして上手くいくかどうか、6月ごろにはご報告できるだろう。定年後の楽しみに家庭菜園を考えている読者の皆さん、始めるなら早いほうがいいですよ!
◆山本浩之(やまもと・ひろゆき)1962年3月16日生まれ。大阪府出身。龍谷大学法学部卒業後、関西テレビにアナウンサーとして入社。スポーツ、情報、報道番組など幅広く活躍するが、2013年に退社。その後はフリーとなり、24年4月からMBSラジオで「ヤマヒロのぴかッとモーニング」(月~金曜日・8~10時)などを担当する。趣味は家庭菜園、ギターなど。
