ひと味違った今年の節分畏れ多い喜びと「なんじゃ、それ!」な扱いと… 山本浩之アナコラム

 【ヤマヒロのぴかッと金曜日】

 『壬生寺』といえば、新撰組ゆかりの寺として有名だが、古来より厄除け・開運の寺として庶民の信仰を集める律宗の大本山である。

 京都の裏鬼門(南西)に位置し、節分鬼門詣りの一端を担っている。ちなみに、表鬼門(北東)に位置するのが吉田神社で、平安京の守護神として知られている。

 父が亡くなった後、京都の知人に勧められ、節分のこの時期は壬生寺にお参りをするようになり15年ほど経つが、毎年お札や起き上がりダルマ守など厄除けグッズをいただくだけの参拝だった。去年の暮れ、松浦俊昭貫主と親しく話す機会があり、その際、今年の厄除け祈祷会へのお誘いを受けた。

 そういえば、一度も節分の行事を見たことがなかったと思い、気楽にお受けしたものの、中身については詳しく聞かなかった。しかも指定されたのは2月2日。

 (あれっ、節分って3日じゃないの?)

 なんでも、三日間にわたって古式による節分厄除け大法要が行われるらしい。「寺に残る資料によると大護摩供養は今年で953回目。途切れることなく続いてます」(スケールが違う!)毎年ゲストをお招きし、今年は文化庁長官の都倉俊一さん、俳優の南果歩さん。で、三人目が私。

 (え~、うっそ。マジで!? なんか一気に格落ちしてるやん…)

 日が近づくにつれ、荷が重くなった。当日、お揃いの装束に身を包み、控えの間でソワソワしていたら、果歩さんが「山本さんが一番似合ってますよ」と小声で優しい言葉をかけてくれた。が、どう見ても私だけお世話係みたいでサマになってない。

 いよいよ大護摩祈祷が始まる。広い境内は、人、人、人の波。その中を、松浦貫主、長官、果歩さん、私の順に練り歩く。どこからともなく笑い声が。

 (やっぱり一人だけ場違いやんか)

 だが、そんな雑念は儀式の開始とともに消え去っていた。法螺貝の音とともに、聖護院山伏衆が寺内を練り歩き供養した後、本堂前に組み立てられた木製の炉に火が焚べられると、護摩木、供物、大量の檜葉から湧き出た白い煙がものすごい勢いで立ち上る。まるで龍が天に向かって駆け上がるような躍動感だ。

 やがて、参拝者の多くはその煙を全身に浴びることになるが、皆ご利益を一身にお受けしているような恍惚の表情を浮かべている。ご祈祷が終了するころには、清々しい気持ちになって寺を後にした。

 翌日のMBSラジオ『ぴかッとモーニング』の本番前、この話を若いスタッフに聞かせてあげようと思っていたら、「今日は2月3日。節分ですからグッズを用意しました。ヤマヒロさんには、これどうぞ!」と軽い感じで、何やら手に持ってニヤニヤしてる。

 よく見ると、子供が身につけるような可愛い頭巾(ときん)、しかも鬼の顔入りときた。前日のご祈祷で、一つ一つ儀式の説明をしてくれた山伏衆の方に申し訳ない。私も結袈裟に掛衣、黒い頭襟(ときん)といった正装で生本番に臨みたい気持ちだったのに…。

 いや、待て待て。「こんなおちょくったモン用意して!」などと怒ってはいけない。格好などどうでもいい。煤と煙は私の体に染み付いている。そう、由緒ある大護摩供養を受けた者として、この一年、番組の厄災を振り払う役を授かった-と思えばいいではないか。

 ◇山本 浩之(やまもと・ひろゆき)1962年3月16日生まれ。大阪府出身。龍谷大学法学部卒業後、関西テレビにアナウンサーとして入社。スポーツ、情報、報道番組など幅広く活躍するが、2013年に退社。その後はフリーとなり、24年4月からMBSラジオで「ヤマヒロのぴかッとモーニング」(月~金曜日・8~10時)などを担当する。趣味は家庭菜園、ギターなど。

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