伝説の朝ドラヒロイン・日色ともゑ84歳に紀伊國屋演劇賞「10年ぐらいは頑張っちゃおうかな」
第60回紀伊國屋演劇賞の贈呈式が23日、都内で開かれ、俳優の日色ともゑ(84)、竹中直人(69)、片桐はいり(63)、安井順平(51)、舞台美術の杉山至氏に個人賞が贈られた。こまつ座の井上麻矢氏とともに特別賞を贈られた俳優で歌手の美輪明宏(90)は欠席し、代理人が出席した。
NHK連続テレビ小説「旅路」(1967年)のヒロイン役でも知られる日色は、団体賞を受賞した扉座の横内謙介氏にエスコートされて登壇し、高々と賞状を掲げて満面の笑み。紀伊國屋演劇賞より早い1961年に民藝の俳優教室に入ったと俳優キャリアを振り返り、「ただ芝居が好きで辛抱してやめなかっただけ。年を取っても賞をいただけるということは、まだ若いんだから頑張りなさいと言ってくださっているのかなとありがたく思っております。新劇の俳優として10年ぐらいは頑張っちゃおうかな」とスピーチして大きな拍手を浴びた。
さらに「圧迫骨折を2カ所やっていて、なかなか治らなくて」とこぼしつつ、「でも舞台をやっていると跳びはねちゃうんですよね」と俳優のさがを打ち明けた。
新劇出身の竹中は「憧れの賞だったし、想像もしていなかった。70を手前にしていまだに信じられない」と喜び、通常の声に加えて2種の声色を駆使してスピーチして爆笑を誘った。続く片桐は「やりにくいなあ。どうしてくれるんですか?」と竹中にぼやきつつ、「(キャリアが)45年になるんですけど賞はもらったことがなくて、よく褒められもしないのに45年やったなあと。褒められなかった日々、いとしいなあと思ってしまいました」と話した。
美輪は代理人を通じて「諸事情により授賞式に出席できず、誠に申し訳ありません」と欠席を陳謝した。
その上で「光陰矢のごとし、あっという間に90歳を迎えました」、「10歳の時に経験した原爆投下の被害の影響もあって決して体が丈夫ではありません。それなのにこの年まで表現者としていられたのは奇跡のようなものです」と感慨を述べ、シャンソン喫茶「銀巴里」での江戸川乱歩、川端康成、三島由紀夫、安岡章太郎、吉行淳之介、大江健三郎、寺山修司、中原淳一、岡本太郎らとの出会いや、寺山率いる演劇実験室・天井桟敷での俳優デビューや舞台と映画で演じた「黒蜥蜴」などを回想。
「振り返ればなんと浮き沈みの激しい人生だったことか。今幸せを感じるのは、音楽や絵画などの芸術や本物の人たちとの出会い、愛と平和があるおかげと、しみじみと感じる今日この頃です」と感謝していた。
