宝塚歌劇雪組スター朝美絢主演のミュージカル「海辺のストルーエンセ」が２４日、梅田芸術劇場シアター・ドラマシティで初日を迎えた（３月２日まで）。

　ＫＡＡＴ神奈川芸術劇場で２月３～１２日に上演され、朝美にとっては２０２１年「ほんものの魔法使」以来、２度目の東上作品となった。１８世紀のデンマークを舞台に、朝美演じる町医者のヨハン・ストルーエンセは、大きな世界で活躍したいという野心を持ち、専属医として宮廷に入り込む。享楽ざんまいな王のクリスチャン７世（縣千）や、王と不仲で孤独な王妃カロリーネ・マチルデ（音彩唯）に出会い、国政を“治療”するうち、カロリーネと引かれ合う。

　朝美は理想を追い求めるあまり暴走してしまうヨハンの純粋さと、芯の強さを繊細に表現した。野心におぼれる妖しい色気もにじませた。知的で冷ややかな眼鏡姿も披露し、フィナーレでは、軽快で情熱的なダンスで魅せた。

　縣は１７２センチの高身長を生かし、暴力をふるい国政を放置する豪胆な王を力強く演じた。一方で、王妃との不義を知りながらヨハンへ友愛を抱く絶妙な心情も表現した。

　王妃を演じた音彩は、切なく可憐な歌声を響かせた。ヨハンと志を同じくし、明るさを取り戻した王妃の姿はパンツスタイルでキュートな姿も披露。また、若手スターの諏訪さきは、王をそばで見守る元侍従長のイーネヴォルト・ブラント役で存在感を示した。

　初日前日に行われたゲネプロで、朝美は「健康第一に、熱意満点で完走したいと思います」とあいさつしていた。