新日本プロレスの旗揚げ５０周年を記念したプロレス音楽フェス「シンニチイズム　ミュージックフェス」（１７日　東京・国立代々木競技場第一体育館）に出演するシンガー・ソングライターの中村あゆみ（５６）と、中村の楽曲「風になれ」を入場曲としているプロレスラー・鈴木みのる（５４）が７日、都内で取材に応じ、この入場曲への思いなどを語った。

　鈴木は、まだ高校生だった１７歳の時、当時大ヒットした「翼の折れたエンジェル」を聴き、中村の大ファンになり「いつかこの人に自分の入場曲を作ってもらう」と強く思い続けていた。

　デビュー後は、入場曲を中村の楽曲から選んでいたが、ある日、関係者とのキャバクラでの会話がキッカケとなり、中村との関係がつながった。そして念願のオリジナル入場曲をオファーし、９５年にこの「風になれ」が完成した。

　以来２７年間、この曲を鈴木は「鈴木みのるの主題歌」と言い、入場時に流し続けてきた。国内のみならず海外でも入場時にファンが曲に合わせ「風になれ」のサビのフレーズを大合唱するなど、楽曲は世界各国に広がっている。

　この日２人は、楽曲制作当時の秘話などを語った。鈴木は、中村にオファーした際「日本語の歌が好きなので、歌詞は日本語で“鈴木みのる”の名前は出さない」との条件を出したという。一方の中村も、プロレス入場曲のオファーを受け、実際に試合会場に出向き「どんな曲が使われているのか？」など実地調査を行った。

　さらに楽曲制作のみならず、実は中村は、入場開始やリングインのタイミング、さらに入場時の振る舞いなどを、すべて楽曲とリンクした形での演出を設定した。鈴木はそれをずっと守り続けているが「大きな会場なら問題ないが、地方の小さな会場は、リングまでの距離が短いので大変。グルグルとリングを回っているのは、その（曲とのタイミングを合わせる）ためです」といった苦労も。

　さまざまな思いが込められて完成した楽曲だが、中村は「ここまで長く使ってくれると思わなかった。世界中で大合唱してくれて、すごくうれしい」と喜んだ。鈴木も「２７年前の気持ちを描いた歌詞が今の自分にも通じる」と楽曲への愛を語り、さらに「ずっと言い続けていて、達成されていないことが１つある。それは紅白。決まったら、大みそかにパンツ一丁で出る」と、ＮＨＫ紅白歌合戦に、中村と一緒に出場する夢を明かしていた。

　今回は、プロレスラーの入場曲にスポットをあてたイベントで、当日は、中村の生歌に合わせ鈴木が入場する演出が予定されている。