宝塚歌劇団花組全国ツアー「フィレンツェに燃える／Ｆａｓｈｉｏｎａｂｌｅ　Ｅｍｐｉｒｅ」が１４日、大阪・梅田芸術劇場からスタートした。

　「フィレンツェ－」は１９７５年に雪組で上演され絶賛を博し、４７年ぶりに再演された。国家統一運動が起こり始めた１８５０年頃のフィレンツェを舞台に、トップスター柚香光演じる侯爵家の長男で聡明なアントニオと、酒場の歌姫から夫を亡くした公爵夫人となったパメラ（星風まどか）を中心とした複雑な愛の物語。

　柚香はヒゲ姿も美しく、ノーブルなたたずまい。抑えた芝居で、星風とのデュエットは心にしみいる。同期の水美舞斗は侯爵家の次男で、兄のためにパメラに偽の愛を仕掛ける。さらにパメラの歌姫時代の恋人、憲兵隊長オテロ（永久輝せあ）も出現。柚香も「普遍的で感傷的で複雑。愛の強さも弱さも描かれ、いろいろな感想を交わしていただければ」と幾層にも重なる愛を訴えた。

　星風は秘めた情熱と悲しみをたたえたパメラを、緩急を付けた芝居で表現。水美は軽薄なふりをしながら熱い人物を好演。柚香との兄弟役は、同期らしく息の合ったものになった。

　「Ｆａｓｈｉｏｎａｂｌｅ－」は、今年の６月から９月にかけての宝塚大劇場と東京宝塚劇場の作品。だが東京ではコロナ禍のため、８公演しか上演できなかった。今回はそんな思いもぶつけ、より熱気あふれる舞台となった。

　柚香は「いよいよ全国ツアーがはじまり、ワクワクしております。この熱気で、全国６カ所を参ります！」とあいさつ。またご当地出身者として、水美が「ありがとうございます！」とあいさつし、柚香と笑顔を交わしていた。

　１１月３日まで。