森をついのすみかにした柳生博さん 語っていた八ヶ岳へ向かった理由
味のある脇役としてドラマや映画で活躍した俳優の柳生博さんが、老衰のため山梨県北杜市の自宅で16日に死去したことが21日、発表された。85歳。茨城県出身。20日に家族葬が営まれた。
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森をついのすみかにした柳生さんだったが、元々は海で生きることにあこがれていた。かつてデイリースポーツのインタビューで「船乗り志望だった」と明かしている。東京商船大に入学し、船長になるため国家試験を受けるつもりが「近眼で不適格。悔しくてね」。船乗りの夢が断たれたことで役者・柳生博は生まれた。
役者の楽しみを「いろいろな人間になれること」と挙げ「うまいことに僕の場合は、どんな役にでもあてはまる。まあ、それだけ個性がないのかもしれませんけど」と冷静に分析。「一つの決まった路線に乗るのは好きじゃないですから」の言葉通り役者だけでなく司会、ナレーションと幅広く活躍した。
華やかな芸能界に身を置いても軸足は自然の中にあった。柳生さんは森に向かう理由をこう語っていた。「僕は自分が男であり、人間であることを確かめるためにも、どうしても八ヶ岳へ行かねばならない」。