作曲家・すぎやまこういちさん死去 90歳、敗血症性ショック「ドラクエ」など生みの親

 大ヒットゲーム「ドラゴンクエスト」の音楽や東京競馬場のファンファーレなどを手掛けた作曲家・すぎやまこういち(本名椙山浩一)さんが、敗血症性ショックのため、9月30日に亡くなったことが7日、分かった。90歳。東京都出身。葬儀・告別式は近親者で行った。後日、お別れの会を行う予定。すぎやまさんは1986年に誕生した「ドラクエ」シリーズだけで500曲以上も作曲し、東京五輪開会式の入場行進でも使用された。

 ゲーム音楽に革命を起こした国民的作曲家の終楽章が、静かに鳴り響いた。今年5月にシリーズ最新作「ドラゴンクエストXII 選ばれし運命の炎」の制作が発表され、新曲作りに取り組んでいたすぎやまさんが、生涯現役のままで亡くなった。死因は敗血症性ショックで、最期の様子については遺族の意向で明かされず。今年3月8日に京都で開催されたコンサートに出演したのが、最後の公の場となった。

 すぎやまさんは東京大学卒業後、文化放送を経てフジテレビに入社。1965年にフリーの作曲家に転身した。ザ・ピーナッツ「恋のフーガ」、ザ・タイガース「花の首飾り」、ガロ「学生街の喫茶店」などがヒット。ヴィレッジ・シンガーズ「亜麻色の髪の乙女」は、島谷ひとみのカバーで再注目された。

 ゲームデザイナー・堀井雄二氏、漫画家・鳥山明氏との三位一体で作り上げたドラクエ。元々、大のゲーム好きだったすぎやまさんが、将棋ソフトの感想をつづったハガキを制作会社のエニックス(当時)に送ったことがきっかけで、オファーを受けた。86年のシリーズ第1作の全8曲は1週間で仕上げて、メイン曲で東京五輪開会式でも流れた「序曲 ロトのテーマ」は、わずか5分で完成させたという伝説を残す。

 当時、ゲーム音楽はピコピコというリズム音が主流。すぎやまさんは「ゲーム音楽は噛めば噛むほどほど味が出る、何回聞いても飽きない作り方が正解」という持論で、クラシックを取り入れた。革新的なメロディーには同社内にも拒否反応があったというが、ドラクエは社会現象を起こす大ヒット作に。誕生から35年、シリーズ累計出荷・ダウンロード数は8300万本以上を誇る。

 16年、最高齢でゲーム音楽を作曲したとしてギネス世界記録に認定された。20年には文化功労者に選出。「ドラクエ愛がある限り、続けていけると思います」-。すぎやまさんが近年明かしていた原動力。その言葉通り、「ドラクエXII」の楽曲が音楽人生を締めくくる作品となった。

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