ノーベル物理学賞の真鍋淑郎さん「1千万年後の気候、気になる」、妻に感謝の飽くなき探究心

 今年のノーベル物理学賞に決まった真鍋淑郎・米プリンストン大上席研究員(90)が5日、大学で記者会見し、現在の地球温暖化だけでなく1千万年先という未来を見据え「気候がどうなるか気になる」と語り、飽くなき探究心をのぞかせた。また、二人三脚で真鍋さんを支えてきた、料理上手な妻の信子さん(80)への感謝も口にした。

 真鍋さんはノーベル賞決定の知らせを「驚いた」と振り返った。大きな業績としては1967年、考案した大気モデルを使い、二酸化炭素濃度が2倍になると気温が2・3度上がると予測する論文をまとめた。69年には、海洋の影響と組み合わせた「大気海洋結合モデル」を発表。「60年代には、気候変動がこれほどの大問題になるとは想像していなかった。研究を駆動したのは好奇心。最も面白い研究は好奇心によって行われたものだ」と強調した。

 今、興味がある分野を問われると、古気候学を挙げた。「生物と気候がどう影響を与え合ってきたのか。面白い問題だと思う」と太古の昔の生き物にも関心を示す一方、「1千万年後の気候がどうなるか、人間がどうなるかも魅力的な問いだ」と、はるか未来の地球にも思いをはせた。

 真鍋さんは親が医師で、本人も医師になることを期待され東大に進んだが、気象の道に転じたという。1950年代に渡米。米国籍を取得し気候変動予測研究に長く取り組んできた。理由については「日本人は他人に迷惑を掛けないことを重んじるが、米国では何でも好きなことができる。研究にはコンピューターも好きなだけ使った。私は他人に合わせて生きる方ではない」と熱っぽく語った。

 日本の科学界については「好奇心に基づく研究が少なくなってきているのではないか」と懸念。「科学者が政治に対して効果的に助言する米国のように、両者がもっと意思疎通すべきではないか」と語った。

 会場で会見を見守っていた、妻の信子さんへの感謝も。「中華や和食、イタリアンなど毎日彼女の料理を楽しめて果報者だ」と絶賛。「子育てもよくやってくれたし、運転中に考え事をしてしまう私に代わって彼女が上手に運転してくれる。おかげで研究に100%集中できた」と語り、会場の笑いを誘った。

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