「ゴルゴ13」さいとう・たかをさん死去 84歳、すい臓がん「劇画」生みの親

 さいとう・たかを氏(2018年9月21日撮影)
 「ゴルゴ13」生誕45周年を祝う会に出席した(左から)黒鉄ヒロシ氏、さいとう・たかをさん、ちばてつや氏=2013年11月
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 巨星墜つ!世界を股に掛ける謎の暗殺者を描いた代表作「ゴルゴ13」や、「無用ノ介」、「影狩り」などのヒット作で知られる漫画家さいとう・たかを(本名斉藤隆夫=さいとう・たかお)さんが24日午前10時42分、すい臓がんのため死去した。84歳。和歌山県出身。葬儀・告別式は親族で行った。お別れの会は、今後の状況などを慎重に見極めつつ、開催を検討する。漫画誌ビッグコミック(小学館)の「ゴルゴ13」の連載は継続する。

 さいとうさんは幼少期を堺市で過ごし、1955年に「空気男爵」でデビューした。2015年の全国漫画家大会議では「この仕事なら紙の上で映画を作れると思った」と当時を振り返っている。

 辰巳ヨシヒロさん、佐藤まさあきさんらと共に「影」、「街」などの貸本用漫画誌を舞台に、スリルとサスペンスに満ちたハードな作風で活躍。よりリアルな表現の「劇画」という新分野を生み出した。当時の代表作に「台風五郎」がある。

 59年に辰巳さん、佐藤さん、辰巳さんの兄の桜井昌一さんらと「劇画工房」を結成して東京に進出。分業制による漫画制作を提唱してさいとう・プロダクションを設立し、60年代後半から「無用ノ介」、「影狩り」などが相次いでヒットした。

 同プロでは脚本協力や作画をその道のプロが担当し、さいとうさん自身は全体の指揮と構成、作画、脚本を担った。書籍「プロに訊け!」のインタビューでは「ドラマを考える才能と絵を描く才能は別」と分業制について述べている。同プロからは「がんばれ元気」、「あずみ」の小山ゆう氏、「子連れ狼」、「乾いて候」の小池一夫氏らが巣立った。

 90年代以降は池波正太郎作品の漫画化に取り組み、新境地を開拓。13年の「『ゴルゴ13』生誕45周年を祝う会」では「ここまで長くなるともう描き手のものじゃない。読者が『やめろ』と言うまで、もうちょっと頑張りますよ」と意欲を見せ、「最後の話は既に考えてあるけど、内容は秘密」とけむに巻いた。

 同志の辰巳さん、佐藤さん、桜井さん、石川フミヤスさん、さいとう作品を出版するリイド社社長を務めた兄の斉藤発司さん、映画でゴルゴを演じた高倉健さん、千葉真一さんらは既に亡い。さいとうさんの死で、劇画の一時代が終わった。

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