感染症専門家 自宅療養策に警鐘「命落とすことも」「抗体カクテル使えず」

 フジテレビ系「バイキングMORE」が4日、政府が自宅療養を基本とする新たな医療方針を示したことを報じ、愛知医科大学病院感染症科・三鴨廣繁氏は「コロナっていうのは急に悪くなる。しかも、その予兆が我々専門家でも予想がつかない」と危険性を訴え、しっかりとした医療体制の再整備をしないままでの方針転換に警鐘を鳴らした。

 番組では、菅義偉首相が2日の会見で「重症患者や重症化リスクの高い方には確実に入院していただけるように必要な病床を確保します。それ以外の方は自宅での療養を基本とし、症状が悪くなればすぐに入院できる体制を整備します」と話し、田村憲久厚労省相も3日の会見で「年齢や基礎疾患という面でも比較的症状が軽くてリスクがそれほど高くないというような方に関しては、在宅ということも含めて対応せざるを得ない」と発言したと報道。

 三鴨氏は「デメリットがメリットを上回っている」と話し、まずは冷静に「メリットというのは、確かに病床がひっ迫している。だからコロナ以外の病気の方も入院できないじゃないかと。そういうためにコロナの方は重症の方を中心に入院していただくんだと。それは理解できます」と発言。

 その後はデメリットに移り「だけど結局、コロナっていうのは、坂道を転げ落ちるがごとく急に悪くなる。数時間後に人工呼吸器をつけなきゃいけなくなる患者さんを何人もみてきた。しかも、その予兆が我々専門家でも予想がつかない。そうすると、自宅療養中に運が悪いと命を落とすっていうこともあり得るし、保健所に電話して病院を決める間にどんどん悪くなるって方も予想される」と、大変危険な方針であることを訴えた。

 さらに、新たな治療薬として期待されている抗体カクテルにも言及。「あの薬は軽症・中等症の入院の患者さんに使うってのが原則。でも、いま自宅療養だったら、このいい薬、軽症・中等症に使う薬のタイミングがなくなっちゃう」と説明。

 結論として「こういう発言をされる前に、やっぱり政府はきちっと医療体制の再整備をする。例えば往診でも、往診料上げるっておっしゃってますけど、どれぐらい上げるというのをしっかり言って、そしてこうした中和抗体のカクテルも投与できるんだと。こういうシステムを構築した上で言っていただければ良かったんですけど、そうじゃないところに問題があると思います」と、強い口調でダメ出しした。

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