乳がん闘病のデザイナー・中島ナオさん死去、38歳【家族のメッセージ全文】
乳がんでステージ4と診断され、がんと闘いながら「がんをデザインする」をテーマに、治療の副作用に悩むがん患者も楽しめるように帽子などのデザインを手がけていたデザイナー・中島ナオさんが20日午後11時40分、亡くなった。38歳。今春に体調が悪化していたという。
中島さんは31歳でがんを発症。34歳でステージ4の段階に進行。19年、治療研究を募金活動で応援するNPO法人「deleteC」(デリートシー)を設立し、代表理事を務めた。
公式サイトには、「家族一同」からのメッセージが掲載された。今年春から体調が悪化し、4月には「ずっと頑張ってきてる。そうやってしか生きられない。疲れちゃうんだけど、でも楽しいんだよ。そうやって生きることにも意味がある。」と苦しみながらも家族に語りかけていたという。
【以下、全文】
今日まで中島ナオをご支援、応援してくださった皆様へ。
中島ナオは4月20日23時40分に38歳で永眠いたしました。
病が分かってからの7年間は自分の身体と折り合いをつけながら、どう生きて行こうかと悩み考えていました。
その後、素晴らしい方々とお会いする機会を得て、たどり着いた様々な事が、ナオの生きる意味となり希望となり、大きな支えになりました。
その支えがあれば辛い治療も前向きに受け入れる事が出来ました。
しかし今年の春頃から体力が徐々に弱まり、非常に難しい状況になりました。
ただ、ナオはそれも受け入れ、今しばらくの事と信じておりました。
又、皆様にお会いして、楽しいと思える事を共に作り上げて行きたいと思っていました。それが叶わなくなったことが残念でなりません。
おそらくナオ自身が1番驚き戸惑っている事でしょう。
夢に描いた事が、多くの方の支えと力で進み、小さくても希望と言えるものになり、たくさんの方々にお届けしたい。
それがナオ自身の大きな希望になりました。
『1つでも多くの希望をつくり届けられますように』
2019年7月7日、七夕の短冊にナオが書いた言葉です。
『ずっと頑張ってきてる。そうやってしか生きられない。疲れちゃうんだけど、でも楽しいんだよ。そうやって生きることにも意味がある。』
『急に悪くなったのは、どうしてなんだろう。不思議。この先どうなっちゃうんだろう。このままで良いのかな。もしかしたら、ずっと悪かったのかも知れない。頑張って動いていたから気づかなかったのかも知れない。』
『すごいことだよね、ほんとうにすごいことだよね。』
そばにいる時間が増え、2021年4月、ナオが家族に語りかけた言葉です。
沢山の抱えた思いをどうにかしたいと、強い気持ちに突き動かされ駆け抜けていった38年間でした。
そのように生きることができたことに、応援して下さった全ての方々に、深く感謝申し上げます。