バンドネオン奏者・三浦一馬 NHK大河ドラマ「青天を衝け」で注目の30歳が魅力語る

 バンドネオンを手にする三浦一馬=東京・音羽
 バンドネオンを手にする三浦一馬=東京・音羽
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 NHK大河ドラマ「青天を衝け」の本編後に放送される「大河紀行」で印象的な音色を響かせているのが、バンドネオン奏者の三浦一馬(30)だ。タンゴを革新した巨人アストル・ピアソラ(1921~1992)の生誕100年を記念したニューアルバム「ブエノスアイレス午前零時」を先月、リリースした三浦が、バンドネオンとピアソラの魅力につかれた人生を語った。

 「大河紀行」には「青天を衝け」の音楽を手がける佐藤直紀氏から「フィクションと現実をつなぐようなイメージ」と声をかけられて参加した。9日にはNHK総合「あさイチ」に出演するなど三浦への注目も高まる。

 その中で本作を発表した三浦は、ピアソラの魅力を「タンゴに色んな要素を採り入れて独自のものを作る。強じんなリズムからその上に乗っかる優美なメロディーから、今まで全くなかった音楽だと思う。今聴いてもなお新しい。本能みたいなところに直接訴えかけてくる」と熱く語る。

 演奏は2017年に創設した17人編成、世界初のピアソラ室内オーケストラ「東京グランドソロイスツ(TGS)」によるものだ。ピアソラ演奏はキンテート(五重奏)が基本だが、経験を積む中で「いろいろなものを全部ブレンドして」、「まるで小さなオーケストラサウンドができあがる」という理想を抱き立ち上げた。

 「前代未聞」の編成のため、楽譜は一から三浦が書き起こす。「毎年もがき苦しむというか、それぐらいして自分の理想を徹底的に譜面に落とし込んで行く」作業だが、「リハーサルで第1音を出した瞬間から、理想のはるか上を弾いてくださる」という手だれのメンバーが集う。

 「一から譜面を再構築してアプローチし直すというのがなかなかないでしょうね。アレンジは他で聴けるということはまずない」のも売り。本作には「手応えは十二分」と自負する18、20年のライブが詰まっている。

 バンドネオンにひかれたきっかけは、小4の頃に見たNHK教育テレビ(現Eテレ)「N響アワー」のピアソラ特集。大人への憧れを抱かせる音楽と共に、バンドネオンそのものもメカ好きだった三浦の興味をそそったが、バンドネオンを習うのはピアノやバイオリン同様にはいかない。三浦は番組に出ていた日本の第一人者、小松亮太のコンサートに出掛け、サイン会で直談判。門下生となった。

 その行動力を高1の春休みにも発揮する。別府アルゲリッチ音楽祭に巨匠ネストル・マルコーニが出演すると知ると、現地で巨匠が「打ち上げをされているおすし屋さん」に潜入、演奏を聴いてもらうことに成功する。

 マルコーニは「次の日の朝、私が泊まっている部屋に来なさい。レッスンしてあげるから」と親切に対応。約2時間レッスンし、「夏にブエノスアイレスに来るならレッスンしてあげよう」と弟子入りを許可した。

 三浦は自作CDを売って渡航費用を捻出。マルコーニには今も師事する。同じ16歳の時には「プロデビューコンサート」と銘打ち手打ち公演も開催した。「チラシも自分で作り、業界の色んな方に招待のはがきを出して」という「バクチのようなスタート」だったが、そこから着実に階段を上ってきている。

 現在はTGS、キンテートでツアー中。5・2新潟、6・6霧島、7・3東京の公演が決まっているTGSのプログラムには、17年からの経験を「全部フィードバックさせた」といい、「完成度という意味でもご期待いただきたい」と自信を漂わせていた。

 ◆三浦一馬(みうら・かずま)1990年6月9日生まれ。ピアニストの両親と共に幼少期をイタリアで過ごす。10歳でバンドネオンを始め小松亮太に師事。2006年からネストル・マルコーニに師事。07年、オーケストラデビュー。08年、第33回国際ピアソラ・コンクールで史上最年少の準優勝。09年メジャーデビュー。10年、NHK「トップランナー」出演。11年、マルタ・アルゲリッチと共演。12、16年、マルコーニとツアー。14年度出光音楽賞。

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