濱口竜介監督 ベルリン映画祭銀熊賞秘話…スタッフは約10人、少数精鋭で

 世界三大映画祭の1つ、第71回ベルリン国際映画祭のコンペティション部門で新作「偶然と想像」が最高賞に次ぐ審査員グランプリ(銀熊賞)を受賞した濱口竜介監督(42)が6日、オンラインで記者会見を開いた。小さな会議室から始まった小規模作品が世界に羽ばたき「信じられない。金より銀が似合う映画ではないかと思ってます」とクールに心境を語った。日本公開は未定。6月に現地で授賞式と一般観客向けの上映イベントが開催される。

 コロナ禍での快挙。映画祭は1~5日に行われた業界向けのオンライン上映のみで開催され、受賞が内定した3日に映画祭ディレクターのカルロ・シャトリアン氏から濱口監督に「電話で話せる?悪い報せではない」とメールが届いたという。

 プロデューサーを交えた3人でテレビ電話をつなぎ、吉報を伝えられたという濱口監督は「本当に小さなチームで作られた映画が、ベルリンという大きな映画祭で評価されたことをうれしく思います。世界の大舞台に選ばれることがスケール感として信じられない。映画祭とはそういうことが起こり得る場なんだと思わせてくれた」と、かみしめた。

 脚本も務めた約40分の短編3作からなるオムニバス。偶然の出来事をきっかけに登場人物の心に湧き起こる疑念や衝動を会話劇で描き、シャトリアン氏からは「今のこういう社会の中で救われるような映画だった。言葉によって新しい次元が開かれていく。映画として異質なことだ」と評されたという。

 撮影10日前から小さな会議室でリハーサルを重ね「感情を抜いて、言葉が自動的に出てくるまでやる」とリアリティーを追求。1話につき主なキャスト、スタッフは計10人ほどという少数精鋭で賞をたぐり寄せた。

 全7話の構想があり、残り4話のアイデアが眠っている。「短編だから実験できることがある。自分のチャレンジしたいものに応じて話の種を使って、タイミングが降ってきたら撮ることになると思います」と、視線はすでに前を向いていた。

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