内田樹氏 菅政権の狙い…反政府的な言説なす者は公的支援ないというルールを教える

 神戸女学院大学名誉教授で思想家の内田樹氏が9日、ツイッターに連続投稿。日本学術会議が推薦した新会員候補6人の任命を菅義偉首相が拒否した問題について菅政権の狙いを分析。「知識階級を全面降伏」させ、「反政府的な言説をなす者はいかなる公的支援も期待できないという新ルールを国民に教え込んでやろうとした」と記した。

 内田氏は「新聞の電話取材は日本学術会議の件。なぜ官邸はこのような政治的緊急性のない事案に手を突っ込んだのか。なぜ学術共同体からの烈しい反発を予測できなかったのか」と問われたことを投稿。「『政治的に無能だから』というのは一つの解ですが、それよりは彼らなりに合理的な根拠があってしたことだと考えた方が生産的です」と記した。

 続けて内田氏は「政府の、最優先課題は『統治コストの最少化』です。前政権で権力者が学んだのは、異論を無視して政治に対する諦めと無力感を蔓延させ、イエスマンを重用して反対派を日干しにし、中産階級の没落を加速すると、社会的不満が醸成されるどころか反対勢力は一層弱体化するということでした」と安倍政権で権力者が得たことを分析。

 さらに、「国民が無気力で虚無的になればなるほど統治コストは逓減する。その目的を実現するために『反政府的な言説をなす者はいかなる公的支援も期待できない』という新ルールを国民に教え込んでやろうとした。先制の一撃で学者たちをなぎ倒すつもりだったのです。そして、学者が一番弱そうに見えた」と投稿した。

 内田氏は続けて「この診立ては部分的には正しかったのです。実際に90年代からあと日本の大学人は教育行政に押し込まれて譲歩し続け、ほとんど有効な反撃ができなかったからです。『学者こそがこの社会の最弱の環であるから、ここを突破口にして知識階級を全面降伏に持ち込む』という楽勝のシナリオを官邸は描いた」との見解を表明。

 続く投稿で「でも、このシナリオは破綻しました。世界の科学者の懸念を呼び起こし、国際世論を『日本の新しい統治者は反知性主義の暴君らしい』という方向に導いてしまった。失ったものはあまりに多い。なぜ、こんな『バカなこと』をしでかしたのか。続きはまたのちほど」と記した。

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